豊田ジャンクション

豊田ジャンクション（とよたジャンクション）

豊田ジャンクションは、愛知県豊田市鴛鴨町に位置する、東名高速道路と伊勢湾岸自動車道が交差するジャンクション（JCT）です。このJCTは、東京方面と名古屋・大阪方面を結ぶ2つの主要な高速道路が交わる重要なポイントとなっています。

概要

豊田ジャンクションは、東名高速道路の上を伊勢湾岸自動車道が通過するハーフタービン型の構造をしています。8本のランプウェイのうち、半分は半径が緩やかに設計されており、ランプ内の最高速度は80km/hに設定されています。このジャンクションは、第一東海自動車道（東名）と第二東海自動車道（伊勢湾岸道）が交わる唯一の場所でもあります。その規模は非常に大きく、敷地面積は約20万平方メートルと、ナゴヤドームの約5倍にも及びます。

第二東海自動車道（新東名、伊勢湾岸道）は、伊勢原JCT以西では東名高速道路の山側に位置していましたが、豊田JCTで東名を跨ぎ海側にルートを変更し、西三河を経由して名古屋港へと至ります。豊田東JCTから豊田JCTまでの約5kmの区間は、付加車線により往復8車線となっています。また、このJCTから東名高速道路の小牧IC（名神高速[[道路]]との直結区間は養老JCTまで）までの区間は、大都市近郊区間の料金水準が適用されます。

歴史

豊田ジャンクションは、2003年3月に東名高速道路から分岐して豊田東ICを結ぶJCTとして一部供用開始しました。当時は豊田市内で唯一のICであった豊田ICとその連絡道路が渋滞に悩まされていたため、このJCTの開通は交通分散に大きく貢献しました。また、東名と第二東名（後の伊勢湾岸道）を結ぶ初めてのJCTでもありました。

2004年12月には、豊田JCT - 豊田南IC間が開通し、全方向へのアクセスが可能となりました。これにより、東名の岡崎以東と名古屋都市圏を結ぶ交通が、豊田JCT、名古屋南JCT経由にシフトし、東名の豊田JCT - 名古屋IC間の交通量が減少し、渋滞発生回数は開通前の5割減となりました。この開通は、1976年以降の計画であった伊勢湾岸道路に東名高速 - 東名阪自動車道の連絡機能を持たせるという構想が、約30年の歳月を経て実現したことを意味します。

2005年3月から9月まで開催された愛知万博では、最寄りの駐車場が東海環状自動車道の豊田藤岡ICおよび東名高速の東名三好ICに隣接していたため、アクセス経路に位置する豊田JCTに万博駐車場の案内表示が設置されました。

年表

2003年 3月15日：豊田東ICが東名高速道路のインターチェンジとして開通し、一部供用開始。
2004年 12月12日：豊田JCT - 豊田南IC間が開通し、東名高速道路が伊勢湾岸自動車道四日市方面と接続し完全供用開始。

景観対策

Techno Forest（構造物の森）

豊田ジャンクションの橋脚数は275基に及び、そのうち125基が着色されています。周辺が田園地帯であるため、コンクリートの地肌のままでは無機質になることから、デザイン処理が施されました。

ジャンクションのデザインは、東京湾アクアラインの進入路擁壁の意匠を担当した「ステュディオハンデザイン」に依頼されました。当初は、ジャンクションがサークル状を成すことから、円柱形の橋脚を統一する案が出ましたが、新耐震基準や構造上の問題から、小判型や梁が飛び出した不揃いな橋脚となりました。そこで、周辺の田園風景との調和を図るため、「テクノフォレスト（構造物の森）」というコンセプトが採用されました。

橋脚と主桁に着色を施し、素材感を表現することにしました。主桁は金属製、橋脚はコンクリート製（最も高い8基は金属製）であるため、橋脚は酸化鉄の顔料をコンクリートに練り込むことで着色し、素材感を出しました。カラーは6色で、赤色系を中心として、同心円状に黄色、緑色、薄緑色へと変化します。これらの色は、冬の枯れ葉、夏の夕焼け、春の新緑といった季節感を表現し、ジャンクション全体で四季折々の変化を表現しています。橋脚は森の樹木、主桁は空をイメージしています。酸化鉄顔料は、退色を防ぎ、メンテナンスフリーにも貢献します。顔料はドイツのバイエル社（現ランクセス社）製で、原色を混ぜ合わせて20種類以上の試作品を作り、現場打ちに使用されました。この着色にかかった費用は約2億1千万円と、工事費用の約2%に相当します。

低位置ライン照明

ジャンクションの照明は、特にランプウェイにおいて低位置のライン照明を採用しています。これは、ポール式照明による光害や景観への配慮から採用されました。低位置ライン照明は、細長いパイプ状をしており、路面を照らすことで視線誘導の役割も果たしています。

隣接する施設

E1 東名高速道路

(19) 岡崎IC/BS - 岡崎阿知和SIC（事業中） - 岩津BS - (19-2) 豊田JCT - (19-3) 豊田上郷SA/SIC/BS - (20) 豊田IC/BS

E1A 伊勢湾岸自動車道

(2) 豊田東IC - (19-2) 豊田JCT - (3) 豊田南IC

脚注

出典

日本[[道路公団]]中部支社「伊勢湾岸自動車道、東名阪自動車道の開通区間概要」『高速道路と自動車』第46巻第5号、公益財団法人高速道路調査会、2003年5月、39-43頁。
日本[[道路公団]]中部支社企画調査課「伊勢湾岸自動車道のネットワーク変遷による交通変動」『高速道路と自動車』第47巻第3号、公益財団法人高速道路調査会、2004年3月、41-44頁。
安部勝也（後編）「紹介　中部地方における道路整備の効果について（後編）」『高速道路と自動車』第48巻第10号、公益財団法人高速道路調査会、2005年10月、32-37頁。
中日本高速道路（株）中部地区支配人企画調整チーム「紹介　万博開催に伴う高速自動車国道等での取り組みとその結果について」『高速道路と自動車』第48巻第12号、公益財団法人高速道路調査会、2005年12月、48-53頁。
中日本高速道路（株）中部地区企画調整チーム「紹介　中部圏の高速道路ネットワーク整備による交通の変化とその効果」『高速道路と自動車』第49巻第2号、公益財団法人高速道路調査会、2006年2月、31-35頁。
韓亜由美「設計報告　風景の生成　豊田ジャンクション・デザインプロジェクト」『プレストレストコンクリート』第42巻第2号、プレストレストコンクリート技術協会、2000年3月、57-60頁。
日経BP社「第二東名高速道路豊田ジャンクション　6色のカラーで彩る橋脚群」『日経コンストラクション』第243巻、日経BP社、1999年11月12日、45-47頁。
建設省中部地方建設局名四国道工事事務所『二十年のあゆみ』名四国道工事事務所、1980年3月。

豊田ジャンクション