豊田直巳

豊田 直巳（とよだ なおみ）

1956年生まれ、静岡県出身の日本のフォトジャーナリストです。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会（JVJA）の会員としても活動しています。

活動概要

豊田氏は、世界の紛争地帯や大規模な事故の被災地など、困難な状況にある現場へと足を運び、精力的な取材活動を続けています。

具体的には、イラクやパレスチナといった内戦・紛争の渦中にある地域で人々の生活や現実を記録してきました。また、かつてのチェルノブイリ原子力発電所事故、そして2011年の東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所事故の被災地にも継続的に赴き、原発事故が地域社会やそこに暮らす人々に与えた影響、そして復興への道のりを写真と文章で伝え続けています。

氏の取材対象は、単なる出来事の記録にとどまらず、その中で生きる人々の顔や声、そして子どもたちの姿に深く焦点を当てています。戦争や災害がもたらす非日常下での人間の営み、苦悩、そしてかすかな希望を写し取ろうとしています。

さらに、豊田氏は特定の社会問題にも光を当てています。特に、戦争で使用される劣化ウラン弾がもたらす健康被害や環境汚染、そして世界の様々な場所で存在している児童労働といった、国際社会が見過ごしがちなテーマにも積極的に取り組み、その実態を広く知らせる活動を行っています。

主な著作

自身の取材活動を通じて得た知見や写真をもとに、数多くの書籍を出版しています。これらの著書は、ジャーナリストとしての視点から、世界で起きている出来事や社会問題、そして人々の姿を読者に伝える貴重な記録となっています。特に、福島の原発事故に関する著作は複数年にわたって発表されており、継続的な取材に基づいています。

『写真集 イラクの子供たち』（第三書館、2002年）
『パレスチナの子供たち』（第三書館、2003年）
『イラク 爆撃と占領の日々』（岩波書店、2003年）
『戦争を止めたい----フォトジャーナリストの見る世界』（岩波書店、2009年、岩波ジュニア新書版あり）
『福島 原発震災のまち』（岩波書店、2011年）
『フクシマ元年』（毎日新聞社、2012年） - イタリア語版（『Fukushima - l'Anno Zero』）も出版。
『福島を生きる人びと』（岩波書店、2014年）
『福島「復興」に奪われる村』（岩波書店、2018年）
『「牛が消えた村」で種をまく』（農文協、2018年）
『「負けてられねぇ」と今日も畑に』（農文協、2018年）
『「孫たちは帰らない」けれど』（農文協、2018年）

また、他のジャーナリストや専門家との共著も多数あり、劣化ウラン弾問題やイラク戦争、東日本大震災、現代の紛争、そしてフォトジャーナリストの仕事など、幅広いテーマで情報を発信しています。

映像作品

ドキュメンタリー映画やビデオ作品にも関わっており、特に福島第一原発事故後の状況を描いた作品や、劣化ウラン弾の危険性を訴える作品などを制作しています。

映画『奪われた村－避難5年目の飯舘村民－』
映画『遺言～原発さえなければ』
ビデオ『知られざるDUの恐怖−イラクの子どもたちは今』（NO DU ヒロシマ・プロジェクト）

受賞歴

福島の現実を子どもたちに伝えるために執筆した『それでも「ふるさと」』全3巻により、第66回産経児童出版文化賞を受賞しています。

豊田直巳氏は、現場の視点を大切にし、メディアがあまり報じない場所や人々の声に耳を傾けることで、世界の隠された現実や社会の課題を私たちに提示し続けているフォトジャーナリストです。

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