日本ビジュアル・ジャーナリスト協会

日本ビジュアル・ジャーナリスト協会（JVJA）

日本ビジュアル・ジャーナリスト協会（にほんビジュアル・ジャーナリストきょうかい、Japan Visual Journalists Association, JVJA）は、写真や映像を通して社会の真実を伝えるフリーランスのプロフェッショナル、すなわちフォトジャーナリストとビデオジャーナリストによって組織された任意団体です。特定の報道機関やメディア企業に専属せず、独自の視点と問題意識に基づき活動する彼らが集まり、互いに連携し、ジャーナリズムの質を高めることを目指しています。

この団体は、2002年7月にその活動を開始しました。ジャーナリストである広河隆一氏が中心となり、同じ問題意識を持つビジュアルジャーナリストに呼びかける形で結成されました。設立の背景には、フリーランスという立場で困難な現場を取材する中で直面する、様々な課題や必要とされる支援への認識がありました。

JVJAは、その活動を通じて三つの主要な目的の実現を目指しています。一つ目は、「志を共有する」ことです。ジャーナリズムへの強い使命感を持ち、時に危険を伴う現場で活動するビジュアルジャーナリストたちが、互いの経験や知識、直面する問題について率直に情報交換を行い、精神的な支え合いを通じて連帯を深めることを重視しています。

二つ目は、「取材と報道の権利を守る」ことです。フリーランスのジャーナリストは、組織の保護がないため、取材活動における妨害や圧力、あるいは報道後の法的リスクに個人で対応せねばならないケースがあります。JVJAは、表現の自由および報道の自由に基づき、会員が安心して取材活動を行えるよう、必要な情報提供や助言、場合によっては法的な支援を含む権利擁護のための活動を展開しています。これは、個々のジャーナリストの活動を支えるだけでなく、社会全体の報道の自由を守る上で極めて重要です。

三つ目は、「自らのジャーナリストとしての姿勢をただす」ことです。社会に対する影響力を持つ報道に携わる者として、常に高い倫理観を持ち、客観性、公平性、そして事実に基づいた真実の追求というジャーナリストの基本姿勢を保つことが求められます。JVJAは、会員が互いの活動について議論し、批判的な視点を取り入れながら、自身の職業倫理や報道姿勢を継続的に見つめ直し、向上させていくための機会を提供しています。

これらの目的を実現するため、JVJAは具体的な活動を行っています。その一つが、正会員による定期的な報告会です。会員は自身の最新の取材成果や直面している課題について発表し、参加者との間で活発な議論を行います。これにより、会員は互いから学びを得るとともに、自己のジャーナリズムについて内省する機会を持ちます。また、写真展や映像上映会などを開催し、会員の作品を社会に広く発信することで、特定の問題への関心を喚起し、ビジュアルジャーナリズムの価値を伝える活動も行っています。

JVJAには、日本のビジュアルジャーナリズム界において重要な役割を果たしてきた著名なジャーナリストたちが多数参加しています。設立世話人の広河隆一氏をはじめ、古居みずえ氏、土井敏邦氏、森住卓氏、山本宗補氏、小林正典氏、佐藤文則氏、豊田直巳氏、林克明氏、桃井和馬氏、綿井健陽氏、権徹氏、海南友子氏、野田雅也氏など、国内外の様々な現場から真実を伝え続けるプロフェッショナルが名を連ねています。彼らの長年の経験と知見は、団体の活動を支える大きな力となっています。

日本ビジュアル・ジャーナリスト協会は、フリーランスという立場ゆえに困難に直面しやすいビジュアルジャーナリストたちが、互いに支え合い、専門性を高め、報道の自由を守りながら活動を継続していくための重要な基盤を提供しています。その存在は、視覚を通して世界や社会の現実を伝えようとする彼らの活動を支え、信頼できる情報へのアクセスを社会に提供する上で、不可欠な役割を果たしています。

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