豊田祐基子

豊田祐基子氏は、日本の著名な報道記者であり、政治史学者としても知られています。彼女は、日米関係を中心とした外交・安全保障問題に関する深い知識と洞察力を持っており、その専門性を活かして、報道、研究、そして解説者として多岐にわたる活動を展開しています。

東京都出身の豊田氏は、1996年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、共同通信社に入社しました。大阪社会部での勤務を経て、2001年に東京本社へ異動。ここでは、日朝国交正常化交渉、憲法取材班、防衛庁、外務省、日本銀行など、国の根幹に関わる重要な分野を担当しました。2009年にはシンガポール支局長に就任し、海外での取材経験を積みました。

2015年から2018年までのワシントン特派員時代には、オバマ、トランプ両政権の外交・安全保障政策を最前線で取材。米国の公文書に基づいた日米関係の報道を数多く手がけ、その報道内容は、両国間の複雑な関係を浮き彫りにするものとして、高い評価を得ました。特に、尖閣諸島の米軍射爆場を巡る報道では、中国との対立激化を懸念した米国政府が米軍に対し、使用停止を指示していたという事実を明らかにし、大きな反響を呼びました。

また、特別報道室在任中には、国際調査報道ジャーナリスト連合（ICIJ）に参加し、五輪不正疑惑の資金ルート解明報道など、国際的な調査報道にも貢献しました。2022年には、ロイター通信日本支局長に就任し、報道の現場を率いています。

豊田氏は、報道記者としての活動に加え、政治史学者としても精力的に研究活動を行っています。2006年から2007年には、米国のジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院、エドウィン・ライシャワー東アジア研究所客員研究員として、研究に専念する機会を得ました。2014年には、早稲田大学大学院後期博士課程を修了し、博士（公共経営）の学位を取得しています。

彼女の著書には、『共犯の同盟史　日米密約と自民党政権』（岩波書店、2009年）、『日米安保と事前協議制度　「対等性」の維持装置』（吉川弘文館、2015年）、『沖縄を世界軍縮の拠点に　辺野古を止める構想力』（岩波書店、2020年、共著）、『東アジアの米軍再編　在韓米軍の戦後史』（吉川弘文館、2022年、共著）などがあります。これらの著書は、日米関係や安全保障問題に関する深い分析と独自の視点を提供しており、学術界からも高く評価されています。

さらに、豊田氏は、ＢＳ・ＴＢＳやＢＳ１１などの報道番組に解説者として出演し、ニュースの背景や政治の動向について、わかりやすく解説しています。その明晰な語り口と、専門知識に基づいた解説は、視聴者からの信頼も厚いです。

豊田祐基子氏は、報道記者、政治史学者、そして解説者として、多角的な視点から社会に貢献している人物と言えるでしょう。

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