豊田芙雄

豊田芙雄：女子教育と幼児教育のパイオニア

豊田芙雄（とよだ ふゆ）は、弘化2年（1845年）に生まれ、昭和16年（1941年）に没した日本の女子教育家です。彼女は、女子高等教育の先駆者、日本の幼稚園教育の開拓者として知られ、日本の女子教育界の発展に大きく貢献しました。また、日本初の保母としてもその名が記録されています。

生涯

水戸藩の郡奉行の娘として生まれた豊田芙雄は、幼少の頃から学問を好み、武芸にも励みました。文久2年（1862年）に豊田香窓と結婚しますが、慶応2年（1866年）に夫が暗殺され、その後は生涯独身を通しました。

明治8年（1875年）に上京し、東京女子師範学校（現在のお茶の水女子大学）で教鞭を執ります。翌年には同附属幼稚園の保母に任命され、日本初の官立幼稚園の保母となりました。ここでは、ドイツの幼稚園教育を学んだ松野クララから大きな影響を受けました。

明治12年（1879年）には、鹿児島県に招かれ、県立幼稚園の創設に尽力しました。鹿児島では、藤田東湖の姪として迎えられ、その功績を称えられました。

明治20年（1887年）には、ヨーロッパに留学し、女子教育を研究しました。帰国後、明治27年（1894年）に翠芳学舎を開きますが、短期間で閉校。その後、栃木県高等女学校や水戸高等女学校などで女子教育に尽力し、後進の育成に努めました。

豊田芙雄は、「女性がその特性を発揮し、良妻賢母となるためには高等教育が必要である」という信念を持ち続け、日本の女子高等教育の発展に大きく貢献しました。

年譜

1845年：水戸に生まれる。
1862年：豊田香窓と結婚。
1866年：豊田香窓が暗殺される。
1875年：東京女子師範学校の教員となる。
1876年：日本初の保母となる。
1887年：ヨーロッパへ留学。
1901年：水戸高等女学校、女子師範学校の教諭となる。
1922年：水戸高等女学校を退職。
1941年：永眠。

著書

『女子家庭訓』（編著）

功績をたたえる

1925年12月には、新聞『いはらき』が芙雄の功績を称え、特別号を発行しました。1976年には、保母生誕百年記念として『茨城保育まつり』が開催され、日本初の保母としての事跡が顕彰されました。

彼女の遺品は、ひ孫である高橋清賀子氏によって大切に保管されています。高橋氏も幼児教育研究家として活躍し、豊田芙雄の遺志を継いでいます。

豊田芙雄は、日本の女子教育と幼児教育の礎を築いた偉大な教育者として、その名は永く記憶されるでしょう。

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