貞孝公主墓

貞孝公主墓の概要

貞孝公主墓（ていこうこうしゅぼ）は、中華人民共和国吉林省和竜市に位置する龍頭山古墓群に存在する、渤海王国の第3代王・大欽茂の四女である貞孝公主の墓です。この墓は1980年に行われた調査によって発見され、以降多くの研究が行われる重要な文化財とされています。

墓の構造

貞孝公主の墓室は、塼と石で構築されており、長方形の形状を持っています。墓室のサイズは奥行き3.1メートル、幅2.1メートル、高さ3.4メートルで、平行持ち送り式の天井が特徴です。墓道は7.1メートルの長さがあり、周囲には幅が異なる方形の封土があります。特に、この封土の上には塔が設けられている点が、他の古代の墓との違いを示しています。

また、墓室や墓道の壁には12人の人物画が描かれており、これが渤海王室の内宮を表していると考えられています。この発見は貴重なもので、古代の文化や宗教に関する新たな知見を提供しています。

出土品

貞孝公主墓からは、さまざまな出土品が見つかりました。墓碑には楷書体の漢字で728字が刻まれており、貞孝公主の身分や生涯について詳細が記されています。797年に亡くなり、同じ年の冬に埋葬されたことが記されており、享年は36歳でした。また、夫に先立たれ、幼女を育てながら貞節を守ったことも言及されています。出土品の中には、陶俑の顔部の破片や金銅製の装飾具、鉄製の釘などもあり、これらは当時の工芸技術や文化を示唆しています。

盗掘と発見

貞孝公主墓は過去に盗掘された形跡がありましたが、それでも男女各一体分の人骨が発見されました。これらの骨は、夫妻の合葬の可能性を示唆しており、古代の社会構造や葬送習慣についての重要な手がかりとなっています。

文化的背景

貞孝公主墓の墓制は唐の墓制と多くの共通点があり、王承礼（吉林省博物館館長）は、渤海文化が独立した民族文化であるという主張は誤っていると述べています。具体的には、貞恵公主墓との比較を通じて、貞恵公主墓には高句麗文化の影響が見られるのに対して、貞孝公主墓は唐文化の影響を受けていることを示しており、渤海が唐に対して隷属的な関係にあったことを示唆しています。

参考文献と関連項目

貞孝公主墓に関する詳しい研究は、姜成山の著作や、東潮が執筆した古代服飾に関する論文などで確認できます。また、関連項目には、姉妹の貞恵公主墓があります。これらの情報は、古代文化の多様性を理解する手助けとなります。

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