財務会計基準審議会

財務会計基準審議会（FASB）について

財務会計基準審議会、通称FASBは、アメリカ合衆国で一般に認められた会計原則（GAAP）の策定と改訂を行う民間の公益団体です。アメリカ証券取引委員会（SEC）は、FASBを会計基準設定機関として公式に指定しました。FASBは1973年1月1日に、アメリカ公認会計士協会（AICPA）の会計原則委員会（APB）の後任として設立されました。

FASBの役割

FASBの主な任務は、投資家やその他の財務報告を利用する者たちに有用な情報を提供することにあります。このために、FASBは公開されたプロセスを通じて財務会計報告基準を作成し、様々な利害関係者の意見を慎重に考慮します。このプロセスでは、包括的かつ独立した方法が取られ、FASBの理事の監督も含まれます。

FASBの独立性

FASBは行政機関ではなく、非営利団体であるため、制度上の独立性が確保されています。SECは法的に会計基準を設定する権限を持つものの、過去の歴史から民間団体の方が公益責任を果たしやすいとの観点から、FASBにその職務が委任されてきました。FASBは独立した構成体として、アメリカ会計士協会（AIA）や他の業界団体から独立して活動しています。

組織構成

FASBは7名の常勤メンバーによって構成され、彼らは以前の職務を持たないことが求められます。これにより、非偏りのある報告が確保されています。さらに、約68名の職員がいる組織構造で、これには様々な専門的背景を持つメンバーが含まれます。FASBの構成メンバーはFAFによって選ばれるため、その透明性と独立性が強化されています。

緊急問題専門委員会（EITF）

1984年には、FASBが緊急問題専門委員会（EITF）を設置しました。EITFは、発生する財務問題に迅速に対応するために設立され、FASBとSECの代表を含む15名で構成されます。問題が生じた際には、問題の検討を行い、意見の一致が得られれば、「EITF Issue」として公表されます。これは、GAAPに準じた有効な指針と見なされます。

会計基準のコーディフィケーション

2009年には、FASBが米国会計基準コーディフィケーション（ASC）の作成に取り組みました。ASCは、US-GAAPの唯一の権威ある情報源として、財務報告基準を統合・整理し検索可能な形で提供します。この取り組みは、FASBの概念フレームワークと混同されないように配慮されています。

概念フレームワークの開発

FASBは国際会計基準審議会（IASB）と協力し、共通の概念フレームワークの開発に取り組んでいます。財務報告の質を向上させるために、経済取引や資金調達をどう測定・記録するか、会計原則や基本的前提について構築し、共通の理解を促進します。概念フレームワークには質的特性として目的適合性や表現の忠実性が定義されており、これは財務報告の使用者にとって重要な基準となります。

ノーウォーク合意と国際化

FASBは、2002年にIASBと共にIFRSとの統合プロジェクトを開始しました。その結果、アメリカのGAAPと国際的な基準との整合性を高める努力が進められています。これにより、財務報告の質が向上し、国際的な信頼性が強化されています。

FASB基準書

FASBは財務会計基準に関する文書を発行し、企業会計原則の標準化に寄与しています。これには、財務会計基準書（SFAS）、財務会計概念書（SFAC）、FASB解釈指針や実務公報が含まれます。これらは金融報告の実務を支えるための重要な資料です。

FASBは財務報告に関する重要な役割を果たし続けており、投資家や他の利用者に必要な情報を提供するために、日々努めています。その独立した立場や透明性の高いプロセスは、アメリカの財務会計基準の信頼性を高める要因となっています。

もう一度検索