財政二十箇年計画

財政二十箇年計画

財政二十箇年計画（ざいせいにじっかねんけいかく）は、日本による統治時代の台湾において、1899年に台湾総督の児玉源太郎と民政長官の後藤新平によって提案された財政計画です。この計画は、台湾の財政的独立と経済の自立を図るもので、長期にわたる重要な施策でした。

背景

日本における台湾統治初期、台湾の財政は日本政府からの多大な国庫補助に依存していました。例えば、1896年には台湾総督府の歳入965万円中694万円が政府補助によるもので、1897年も同様に596万円が補助金でした。こうした状況の中で、台湾が独自の財政を確立することが急務とされていました。

児玉・後藤政治の財政自立化計画

児玉源太郎と後藤新平は、明治32年度の予算請求と共に財政二十箇年計画を発表しました。この計画には、専売制度の導入や地方税制の開始が盛り込まれ、台湾の独立財政と経済の自立化を目指しました。具体的には、政府からの補助金を減少させ、長期的に自立できる財政を構築する内容が盛り込まれていました。初期計画の中には、台湾縦貫鉄道や基隆築港など重要なプロジェクトがありましたが、当初の予算から減額され、最終的に4,000万円の規模で政府案として承認を受けました。

年次ごとの歳入策

土地調査事業

1898年に発表された「台湾地籍規則及び土地調査規則」に基づき、台湾総督府は土地調査を実施しました。この調査により、旧来の慣習である「隠し田」が撲滅され、税収が増加する結果となりました。また、1904年には「大租権整理令」により地代の税率も引き上げられ、徴税基盤が整備されました。

専売制度

専売制度は1896年から始まり、台湾の財政独立に大きく寄与しました。最初は阿片が対象になり、その後、食塩、樟脳、煙草、酒など多くの貨物が専売されました。これにより、台湾内の資本家企業が成長し、日本本土の資本勢力も強化されました。

事業公債

1899年に制定された「台湾事業公債法」により、鉄道や港の整備のための公債が発行され、これに基づいて鉄道建設などの工事が進められました。後藤新平は、鉄道の国有化を進め、多くの重要なプロジェクトを開始しました。これにより、1908年には基隆から高雄間に全通して、台湾の交通網が整備されました。

地方税の実施

地方税として、地租附加税や営業税が導入され、これにより台湾の歳入が増加し、独立財政の基盤がさらに充実しました。

計画の見直しとその後

1901年度以降、財政二十箇年計画は阿片・樟脳専売収入の減少により厳しい状況に直面しました。それを受けて、台湾総督府は財政計画の大幅な変更を余儀なくされ、糖業改良に関する新渡戸稲造の意見書が参考にされることになりました。その結果、計画は見直され、台湾の独立財政が実現される方向に進みました。

このように、財政二十箇年計画は台湾の財政を独立させるための大きな試みであり、最終的には1945年の日本の敗戦までこの財政体制が維持されました。台湾の歴史において、この計画は経済発展と財政的自立における重要な転機となったのです。

もう一度検索