財産をねらえ

財産をねらえ：ドルーピーとスパイクの遺産相続騒動

1949年8月13日に公開された『財産をねらえ』（原題：Wags To Riches）は、[アメリカ合衆国]]のアニメーション界の巨匠、テックス・アヴェリー監督による作品です。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]制作のこの短編アニメーションは、[[ドルーピーとスパイクという人気キャラクターをフィーチャーし、彼らのコミカルなやり取りを通して、ユーモラスな物語を展開します。

物語は、ある大富豪の死から始まります。莫大な財産を残して亡くなった富豪の遺産相続を巡り、ドルーピーとスパイクの二人の犬が中心人物として登場します。遺言書には、善良なドルーピーが相続人として指定されていることが明かされます。しかし、ドルーピーが死亡した場合、財産はスパイクに相続されるという条項も含まれていました。

この条項に目をつけたスパイクは、ドルーピーを排除して遺産を手に入れようと、様々な策略を企てます。しかし、彼の計画はことごとく失敗に終わります。ガス漏れを利用した爆発計画では、ドルーピーは難を逃れ、スパイク自身が爆発に巻き込まれてしまいます。カメラに仕込んだ大砲も、カメラの向きが逆になってしまい、自分自身を撃ってしまうというオチに。他にも、ライフルの引き金とドアノブを紐で繋いだり、木を倒そうとしたり、飛び込み台を自作してドルーピーを陥れようとしますが、どれもドルーピーの機転とスパイク自身の不運によって失敗に終わります。

スパイクの最後の策は、ドルーピーの口に泡をつけて狂犬に見せかけ、保健所に通報するというものでした。しかし、皮肉にも扇風機の風で泡がスパイク自身の口に飛んでいき、彼自身が狂犬として保健所に連行されてしまうという結末を迎えます。一方、最後までスパイクの策略に気づかなかったドルーピーは、遺産を相続できずに悔しさのあまり暴れ回ります。その様子を見て、保健所の職員は「あれが狂犬だって？本当だねぇ」と呆れるのでした。

『財産をねらえ』は、ドルーピーとスパイクのキャラクター性を活かした、テンポの良いギャグと予測不能な展開が魅力の作品です。スパイクの悪だくみはどれも創意工夫に富んでおり、ドルーピーの鈍感さと幸運な偶然が相まって、笑いを誘います。また、シンプルなストーリーながら、キャラクターたちの表情や動き、そして効果音なども相まって、独特の世界観を作り出しています。

この作品には、『財産をねらえ』という邦題と同様の内容を持つ、1956年公開の「Millionaire Droopy」というリメイク作品も存在します。こちらは、ハンナ＝バーベラプロダクションが制作し、シネマスコープで撮影されました。日本のテレビ放映では、このリメイク版が使用され、TBS版『トムとジェリー』の合間に放送され、1990年頃まで地上波で再放送されていました。ただし、放送規格に合わせるため、シネマスコープ版の画面は左右がカットされていました。

『財産をねらえ』は、時代を超えて愛されるアニメーション作品の一つです。ドルーピーとスパイクのコミカルなやり取り、そして予想外の展開は、今もなお多くの観客を魅了し続けています。そのユーモラスな世界観とテンポの良いストーリー展開は、何度観ても新鮮で、世代を超えて楽しめる作品と言えるでしょう。

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