貨車山砲

貨車山砲（かしゃさんほう）について

貨車山砲とは、1930年代に大日本帝国陸軍が考案・開発した自走砲です。この兵器は、九四式山砲を自動貨車（トラック）に搭載した簡易式自走砲であり、軍の近代化を進める中で重要な役割を果たしました。

満州事変と貨車山砲の誕生

貨車山砲の原型は、1931年に勃発した満州事変において現地部隊により使用された四一式山砲を搭載した車両にあります。兵站用車両の荷台に搭載されて運用されたことから、現地では「貨車山砲」と呼ばれるようになりました。これを受け、陸軍の関東軍野戦自動車隊は、機械化部隊の編成を視野に入れて、既存の6輪トラックの荷台に四一式山砲を搭載し、車上射撃試験を行いました。試験の結果、命中率は地上射撃時と同等であり、車体への発射衝撃の影響もなく、好評価を得ました。ただし、射撃時にはフットブレーキや車止めの使用が推奨されていました。

また、時期は不明ですが、同じように四輪トラックの荷台上での射撃も行われていました。

日中戦争と機械化部隊での使用

貨車山砲はその後、初の常設機械化兵団である独立第一旅団でも採用され、1937年の日中戦争では、機械化された独立歩兵第12連隊でその運用実績が確認されています。機械化によって、兵士たちは迅速に動けるようになり、戦術的な利点を享受しました。

改良型の登場

1940年には、対戦車戦闘への対応も意識され、罪深くトラックの荷台に後ろ向きに山砲を搭載する方式から、前向きに射撃が可能な改良型が登場しました。これにより、敵戦車との遭遇時にも迅速な反応が可能となり、戦場での運用がより効率的になりました。この改良型では、荷台に専用の台を固定し、その上に山砲を搭載する形式が採用されました。使用されたトラックは「日産180型自動貨車」で、この改良が戦闘における優位性に寄与したとされています。

実戦での活躍

貨車山砲の最初の実戦投入は、1941年のフィリピン攻略戦です。12月23日には第48師団がアグノを攻略する際、山本岩夫大尉が指揮する中隊が貨車山砲を利用して支援射撃を行い、20発の榴弾を発射しました。また、タルラック市攻略戦においても対戦車戦闘を行い、米比混成の機械化部隊に対抗するなど、決定的な戦果を上げました。このように、貨車山砲は大日本帝国陸軍の戦術において貴重な役割を果たし、さまざまな戦闘でその能力を発揮しました。

まとめ

貨車山砲は昭和の戦争において、自走砲としての重要性を示し、特に機械化戦力の一翼を担いました。この戦術は、陸軍の新たな戦力形成に寄与し、敵に対して効果的に戦うための手段となったのです。

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