貫心流

貫心流の概要

貫心流（かんしんりゅう）は、日本の伝統的な武道の一つで、宍戸司箭家俊によって創設された流派です。この流派には、剣術、居合、長刀（薙刀術）、柔術など多岐にわたる技術が含まれており、特に薙刀術では「司箭流」と称されることもあります。貫心流は武道愛好者にとって、その歴史と技術の深さから魅力的な存在です。

歴史

貫心流の歴史は、宍戸司箭家俊の直前に遡ることができます。伝承によれば、源義経を遠い祖先とし、彼の家来であった由利忠太正之の子孫が、室町時代末期に安芸国広島に武術を伝えたとされています。宍戸元家の三男であった家俊は、由利正俊より義経の流派とされる武術を学び、その技術を後世に伝えました。家俊は主に薙刀術から槍術を編み出し、元亀元年（1570年）に貫心流を創立しました。

その後、家俊は伊予の河野通昭に貫心流を教え、流派は広島藩に再び伝わりました。特に江戸時代には、河野氏から姓を改姓した築山通護が貫心流を広島藩で発展させました。築山家は以降、代々貫心流を受け継ぎ、広島において武道の教育を行いました。

継承と発展

元禄年間には、溝口甚五右衛門によって貫心流が阿波国徳島に伝わり、それを学んだ細義知は、広島藩に赴き築山通欽から正統な教えを受けました。この間に、広島藩の有名な学者であった頼山陽も貫心流を習得しており、彼が広島に留まり道場を開設したことで、流派はさらなる広がりを見せました。

その後、細義知の孫、細致知も貫心流を学んだ後に江戸にてさらに知識を深めました。この時期、武術流派はその秘密主義的な性格を保っていましたが、致知は道場の見学を許可したため、多くの弟子を集めることができました。

江戸時代末期から現代まで

幕末にかけて、広島藩および徳島藩が貫心流の隆盛を迎えます。特に1869年には広島藩で貫心流以外の剣術流派が禁じられ、以降、広島藩の剣術は貫心流が唯一の流派となりました。しかし、時代の流れとともに広島や徳島では絶えることとなりました。

明治43年（1910年）には、徳島県出身の長野充孝が大日本武徳会の剣道師範として姫路に派遣され、その後、貫心流が再び活動を開始します。長野の弟子である神竹静一によって松江市に居合が中心となった系統が伝えられ、また姫路では剣術が中心となる系統が存在します。

平成8年（1996年）には、姫路において組織的な継承を目的とする貫心流稽古会が設立されました。これは、長野充孝の弟子である三浦経一が中心となった活動であり、多くの武道愛好者に支持されています。姫路では、長野充孝の子息も活動しており、伝承の流れは現在でも続いています。

伝承者の系譜

現在、貫心流の伝承者として名を連ねている人々は多岐にわたります。宍戸司箭家俊から始まり、河野大内蔵昭、築山斎通、細六郎義知など、続々と名高い武道家たちが流派を受け継いでいます。特に長野充孝、三浦経一、神竹静一などの流派は、現代においてもその技術を守り続けています。

貫心流は古武道の中での大切な一つであり、その技術や理念は現在の武道愛好者にも深く影響を与え続けています。

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