貴斗志将吏

貴斗志将吏：波瀾万丈の経歴と、相撲界からの引退後

貴斗志将吏（たかとしまさおき）は、1990年4月19日生まれの埼玉県越谷市出身の元大相撲力士です。貴乃花部屋に所属し、最高位は西幕下3枚目（2014年11月場所）に上り詰めました。187cm、130kgの恵まれた体格と、双子の兄である貴月芳将匡との関係性も注目を集めました。

双子兄弟と相撲との出会い

小学5年生の頃、双子の兄と共に相撲を始めます。その後、兄弟揃って茨城県の東洋大学牛久高校に進学し、2008年のインターハイでは、見事団体戦で優勝に貢献しました。高校卒業を機に、父親の勧めで貴乃花光司が師匠を務める貴乃花部屋へ入門します。新弟子検査では、兄と瓜二つであることから、親方衆の注目を集めました。2009年1月場所、貴斗志の四股名で初土俵を踏み、同期には宝富士、皇風、徳勝龍、東龍といった面々が名を連ねています。

プロとしての歩みと挫折

新序出世を果たした貴斗志は、7場所連続で勝ち越しを収め、2010年5月場所では西三段目11枚目まで番付を上げました。しかし、ここで初めての負け越しを経験します。続く7月場所では、7戦全勝で三段目優勝という快挙を成し遂げ、東幕下23枚目まで番付を上げました。兄を大きくリードする形となりましたが、幕下では苦戦を強いられ、4場所連続で負け越し、三段目陥落の危機に瀕します。それでも、2011年7月場所では幕下で初勝ち越しを果たし、9月場所でも5勝2敗と健闘を見せます。

突然の引退と裁判

2014年11月場所、貴斗志は自己最高位となる西幕下3枚目で迎えるはずでした。十両昇進も射程圏内に入った矢先、所属する貴乃花部屋から名前が消え、休場扱いとなります。場所直前に、本人にとって全く予想外の事態でした。場所後、正式に引退が発表されます。しかし、貴斗志は自身の同意なく師匠である貴乃花によって引退させられたと主張し、日本相撲協会に対して訴訟を起こしました。この裁判は2018年2月23日に和解が成立しました。

引退後の活動とアマチュア相撲復帰

引退後は、双子の兄と共に株式会社小笠原組を設立し、解体業「STARS」の代表を務めています。2019年11月26日には、元貴月芳と共にアマチュア相撲への復帰が承認されました。

衝撃のエピソード

貴斗志は、関東連合元リーダーの石元太一の甥にあたるとの報道もありました。また、貴ノ岩の付け人暴行事件の後、貴斗志の裁判内容や貴乃花部屋の引退力士たちの証言が報道され、貴乃花部屋における厳しい稽古や暴力問題などが明らかになりました。貴斗志は、貴ノ岩とのトラブルをきっかけに部屋を飛び出し、師匠から破門を言い渡され、強制引退させられたと主張しています。一方、裁判では、貴斗志の訴えは退けられました。

相撲協会の誓約書と貴乃花

貴斗志の引退当時、明確な引退ルールが存在していませんでした。裁判を受けて、相撲協会は全力士に誓約書を義務付けました。その誓約書には、「師匠が現役力士として不適正と判断した場合、引退届を提出すること」などが明記されています。貴乃花は、部屋の力士たちの誓約書提出を拒否し続けていました。

成績

通算成績：130勝101敗7休（35場所）
各段優勝：三段目優勝1回（2010年7月場所）

貴斗志の生涯は、相撲界での栄光と挫折、そして裁判という波瀾万丈なものでした。現在は解体業で成功を収め、アマチュア相撲にも復帰するなど、新たな人生を歩んでいます。彼の経験は、相撲界の闇の部分を浮き彫りにし、その後相撲協会の改革にも繋がりました。

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