貴船まつり

貴船まつりの概要

貴船まつり（きぶねまつり）は、神奈川県足柄下郡真鶴町に位置する貴船神社の例大祭であり、海を舞台に華麗な船祭りが繰り広げられます。祭りでは、小早船や神輿船が櫂伝馬によって曳かれ、真鶴港と町内の各所を巡る海上渡御が行われます。毎年7月の最終土曜日とその前日がこの祭りの日程で、昭和33年（1958年）に神奈川県指定無形文化財、昭和51年（1976年）には神奈川県指定無形民俗文化財、そして平成8年（1996年）には重要無形民俗文化財に指定されています。

この祭りは、広島県の厳島神社で行われる管絃祭や宮城県の鹽竈みなと祭とともに、日本三大船祭りに数えられています。祭りの特徴は、華やかな花飾りや吹き流しで彩られた船が海を渡る姿で、参加者の地元の伝統や技術が活かされています。

祭りの流れ

祭り初日（宵宮）

宵宮の日の朝、小早船と神輿船は、海上を神迎えのために浜を出発します。途中、櫂伝馬による競漕も行われ、社前で鹿島踊りが奉納されます。神輿は船に移され、神職や氏子たちが乗船し、海上渡御が始まります。この間、神輿船に乗った人たちは、古風な旋律を歌い上げ、囃子船からは笛や太鼓が奏でられます。

祭り二日目（当日）

当日は町内で神輿の巡行が行われ、その合間に花山車が町を練り歩きます。夕方には神輿が神社へ戻る際、装飾された小早船と共に再び海を渡ります。納めの鹿島踊りで祭りは締めくくられ、壮大な船祭りが終了します。

海上渡御とその重要性

貴船まつりを象徴するのが、海上渡御での7隻の船による祭りの様子です。特に、櫂伝馬と小早船は祭りの目玉で、厳重に装飾されたそれぞれの船は観光客を魅了します。歴史的には、江戸からの文化が流入し、真鶴の発展とともにこの祭りも形を変えてきました。特に、櫂伝馬を操る技術は、漁業や海難事故の際に重要な役割を果たしてきたことが古文書に記されています。

歴史的背景

貴船まつりの起源は古く、890年頃には神像が発見されたことが祭りの始まりとされています。その後、寛文12年（1678年）には真鶴港において祭りの起源とされる船中祈祷が行われている記録があります。弘化2年（1845年）には、現在の船が建造され、近代的な形が整いました。近年では、新型コロナウイルスの影響で開催が中止されたり、形式が変更されたりすることもありましたが、2022年からは感染対策を講じた上での開催が再開され、新しい形での継続が図られています。

祭りの担い手不足

真鶴町では人口減少が続いているため、祭りを支える担い手が不足しています。このため、開催日を特定の日程に固定し、事前説明会を実施するなど、地域住民や移住者を巻き込んだ取り組みを行っています。これにより、昔からの伝統を守りつつ、地域の活性を図る努力が続けられています。

まとめ

貴船まつりは神奈川県真鶴町における重要な文化遺産であり、地域の人々が協力して盛り上げています。多くの観客が訪れる祭りの華やかな船たちは、漁業や石材業に密接に結びついた真鶴町の生活と歴史を体現しています。

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