貴醸酒

貴醸酒（きじょうしゅ）とは

貴醸酒は日本酒の中でも特異な製法によって作られる甘口の酒です。この飲み物は、水を使う代わりに酒を用いて仕込まれ、その結果、独特のとろみとリッチな味わいを持つ日本酒になります。この独創的な酒造りは「再醸仕込み」や「醸醸」、「三累醸酒」などとも呼ばれることがあります。

製法の特徴

貴醸酒の製法は、通常の日本酒制作に比べて非常に贅沢です。一般的な日本酒は米100に対し水130を使用しますが、貴醸酒は米100に水70と酒60を用いて仕込まれます。特に、仕込みにおける最終段階である留（とめ）では、仕込み水の代わりに酒を使うのが一般的です。また、全過程で酒を仕込む方法も探求されており、貴醸酒に特別な風味を加えています。

仕込みに使われる水は酒蔵が自ら掘り当てた高品質のもので、一般家庭で使われる水道水とは異なります。このため、貴醸酒の製造には高いコストがかかることが明白です。

酒質と味わい

貴醸酒は一般的に純米酒として仕込まれ、そのバリエーションには長期熟成酒や生酒などがあります。この酒の特徴は、こくがあり濃厚な甘みとバランスの取れた酸味、そしてすっきりとした後味です。これにより、食前酒や食後酒として楽しむのに適した深みのある味わいを持っています。

さらに、貯蔵されることで琥珀色が深まっていき、まろやかな舌触りを増していくのも魅力の一部です。貯蔵の過程では、樽の工夫によってさらに風味を引き出した貴醸酒が販売されています。新酒は冷やしたり、オンザロックで楽しむことが推奨され、一方で熟成酒は冷やから燗までの温度で楽しむことができます。また、アイスクリームにかけてデザート後の楽しみとしても人気があります。

貴醸酒の由来

貴醸酒は、国立醸造試験所で開発されました。この酒は国賓晩餐会でフランスの高級ワインやシャンパンが提供されるのを受けて、日本酒でも同様に高級感を持つ酒が求められた結果として誕生しました。この製法は平安時代の文書『延喜式』に記されている古代の製法「しおり」に近いものであり、歴史的背景があります。

特許が取得されていたこの製法は現在では失効していますが、「貴醸酒」という名称は榎酒造によって商標登録されています。これにより、加盟蔵以外では別の呼び名で呼ばれることになりますが、品質表示として「貴醸酒」という名称を使用することは許可されています。

結論

貴醸酒は、特別な製法によって仕込まれる日本酒であり、その豊かな風味と甘美な味わいから、多くの人に愛されています。特に食事やデザートと合わせることで、その魅力を更に引き立てることができる素晴らしい飲み物です。

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