貿易政策審査制度

貿易政策審査制度（TPRM）

概要

貿易政策審査制度（Trade Policy Review Mechanism、略称TPRM）は、1994年に採択された世界貿易機関（WTO）の設立を規定するマラケシュ協定の附属書の一部として位置付けられています。この制度は、国際貿易の健全な運営を促進するために、各国の貿易政策とその実施状況を定期的に審査することを目的としています。

TPRMは、1988年のウルグアイ・ラウンドの中間レビュー会合において、その結果の一部として導入されることが決定されました。1989年4月にはガット理事会で正式に制定され、以降国際貿易の透明性を高める手段として機能しています。これまで、特定の貿易措置に関する通報や検討は行われていましたが、全体的な貿易政策のレビューはTPRMが初めての試みでした。開始当初は暫定的な制度とされていましたが、ウルグアイ・ラウンド交渉が終了する際に加盟国からの継続希望により、制度は修正されWTO協定の一部として正式に永続化されました。

審査の流れ

TPRMの審査は、以下の手順を経て実施されます。

1. 書面質問
審査対象国に対し、他の加盟国から書面で質問が提出されます。この質問に関する回答は、会合の1週間前までに行われる必要があります。

2. 会合1日目
審査を受ける国が自国の貿易政策に関するステートメントを述べます。続いて、ディスカッサント（議論を導く役割を担う国）から審査対象国の現状と今後の課題についての提案が行われ、各加盟国からの意見が続きます。

3. 会合2日目
初日に出た質問やコメントに応じて、審査対象国が再度ステートメントを行います。その後、ディスカッサントが自国の意見を述べ、最後に議長によるまとめの発言を経て、審査が終了します。

改正の経緯

TPRMの審査周期は、加盟国の影響力に応じて設定されています。以前は、影響力の大きい4つの国は2年ごと、次に重要な16の国は4年ごと、それ以外の国は通常6年ごとの審査が行われていました。しかし、加盟国の増加に伴う運営の負担を考慮し、2017年に審査周期を見直すことが決定されました。この改正により、影響力の大きい国は3年ごと、次の16カ国は5年ごと、その他の国は7年ごとのサイクルとなりました。改正案は2017年7月26日に一般理事会で承認され、2019年1月1日から発効しました。この改正は、閣僚会議の承認をもとに全加盟国に自動的に適用されることとなります。

参考資料

この制度に関する詳細情報や解説については、以下の資料を参照してください。

• - 津久井茂充著『ガットの全貌 コンメンタール・ガット』
• - 津久井茂充著『WTOとガット コンメンタール・ガット1994』
• - 筒井若水『国際法辞典』

関連項目

• - 世界貿易機関（WTO）
• - ウルグアイ・ラウンド

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