資生堂グローバルイノベーションセンター

資生堂グローバルイノベーションセンター（GIC）は、神奈川県横浜市西区のみなとみらい地区に位置する、化粧品メーカー資生堂の研究開発拠点です。愛称は「S/PARK」（エスパーク）で、2019年4月に全面開業しました。この施設は、最先端の研究設備を備えるとともに、一般の人々も利用できるコミュニケーションエリアを併設しているのが特徴です。

立地と前身

GICは、みなとみらい大通りと横浜高速鉄道みなとみらい線の交点に位置し、新高島駅に隣接しています。横浜市は2015年に資生堂による研究所を中心とした施設の建設を決定しました。周辺には、京急グループ本社やLGグループの研究開発拠点も存在します。資生堂の研究所は、1916年に東京・銀座で始まり、1968年に横浜市港北区に「資生堂研究所」を開設。その後、2000年には都筑区の旧デュポン研究所に移転し「資生堂リサーチセンター（新横浜）」と改称しました。2013年に金沢区の研究所を統合し、新横浜で研究開発を行っていましたが、最先端の街で研究員が刺激を受けることを目的に、みなとみらいへの移転が決定しました。

建築

GICの設計・施工は鹿島建設が担当し、透明な建築をイメージした全面ガラス張りの外観が特徴です。当初は地上14階建ての計画でしたが、地上16階建てに変更され、高さは約78mに拡大されました。地下には機械式駐車場を設け、軟弱な地盤に対応するため、段階的に掘り進める独自の工法が採用されました。この建物は、2020年に日本建設業連合会主催の第61回BCS賞を受賞しています。

フロア構成

地下には機械室や倉庫、機械式駐車場、1階と2階には一般に開放された「コミュニケーションエリア」があります。3階には多目的ホール「S/PARK Hall」があり、研究発表などが可能です。4階には、商談スペース「Collaboration Site」や共同研究施設「Collaboration Lab」が設けられ、5階から14階は研究所とオフィスとなっています。各階の仕様は異なり、11階にはマンションの一室を模した試験室「Living Lab」も設置されています。15階には社員食堂とテラスがあります。

内外研究機関や異業種との連携

GICは、基礎・基盤研究のハブ拠点として、約1,000人の研究者が働く世界最大規模の化粧品研究施設です。「ハブ&スポーク体制」により、海外の研究所とも連携し、「都市型オープンラボ」として、国内外の研究機関や異業種との協業を推進しています。将来的には、電機メーカーとの美容家電共同開発なども視野に入れています。

S/PARK

「S/PARK」という愛称は、資生堂の「S」と、ひらめきが生まれる場所としての「PARK」を意味しています。1階と2階のコミュニケーションエリアは、一般の人々も利用でき、「美のひらめきと出会う場所」をコンセプトに、「S/PARK cafe」、「S/PARK Studio」、「S/PARK Beauty Bar」、「S/PARK Museum」の4つの機能が設けられています。

• - S/PARK cafe: 資生堂パーラーのチームが開発した、野菜中心のメニューを提供しています。
• - S/PARK Studio: 資生堂ランニングクラブの知見を生かした美を作るプログラムを提供し、ランニングステーションとしても利用できます。
• - S/PARK Beauty Bar: 資生堂の製品を試せるほか、肌解析に基づいたオリジナル化粧品を作ることができます（予約制）。
• - S/PARK Museum: 入場無料の企業博物館で、資生堂の歴史や化粧品科学に関する展示を行っています。静岡県掛川市の資生堂企業資料館とは異なり、サイエンスに特化した展示が中心です。

GICは、資生堂のイノベーションの中核拠点として、研究開発だけでなく、一般の人々との接点を持ちながら、新たな美の価値を創造していくことを目指しています。

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