賞典禄

賞典禄（しょうてんろく）

賞典禄は、明治維新において際立った功績を残した公卿、大名、士族などに対して、政府から与えられた特別な恩賞です。この制度は、家禄と併せて支給され、主に戊辰戦争や箱館戦争での戦功に基づいて支給されました。賞典禄は、無期限で受け継がれる「永世禄」、個人の一代限りの「終身禄」、および一定期間のみ支給される「年限禄」の3種類に分類されます。

背景と目的

戊辰戦争以降、明治政府は、旧幕府軍及び佐幕派との戦いで官軍が勝利を収めたことを背景に、戦功を上げた者たちへの報償を検討しました。多くの藩が新政府に参加したため、賞典禄の支給を求める声は大きくなり、多数の功績者が期待することとなりました。政府は1869年には、功労のあった公家、大名、武士に対して、賞典禄の支給を決定しました。

賞典禄の種類

賞典禄には以下の3種類があります。
1. 永世禄: 無期限で給付され、子孫に世襲が許される。
2. 終身禄: 支給されるのは本人の一代のみ。
3. 年限禄: 賞典の支給期間が定められている。

このように、賞典禄は人々の功績を将来的にも認める仕組みとして機能しました。

支給の詳細

1869年7月10日には、戊辰戦争の軍功者419名に対し、総額74万5750石、現金20万3376両が支給されました。特に、鹿児島藩主の島津忠義・久光父子、山口藩主の毛利元徳・敬親父子がそれぞれ10万石を授与されました。
また、箱館戦争の軍功者にも賞典禄が授与され、三条実美や岩倉具視が最高の5000石を得るなど、支給が行われました。

政府は、大久保利通や木戸孝允の意見に従い、領地の授与ではなく禄米の支給を行いました。具体的には、1石当たり2斗5升の現米を支給することが規定され、その際に発生する賞典金は一時金として処理されました。

財源と影響

賞典禄の支給は、戊辰戦争で没収した諸藩の所領を財源とし、藩主が受け取った賞典禄の一部を藩士に分与することも行われました。このような分与を「分与禄」と呼びますが、財政に向ける影響も少なくありませんでした。家禄と共に財政悪化の要因となり、全体の支給総額は90万1620石に達しました。

廃止の流れ

1876年には、金禄公債の導入に伴い、賞典禄は廃止されることとなりました。これは、国家の財政を軽減する手段として実施されたものです。賞典禄は、永世禄を含めてわずか7年間でその歴史に幕を下ろしました。

まとめ

賞典禄は、明治政府の時代背景を反映した特別な恩賞制度であり、旧幕府や佐幕派に属していた者たちに功績を評価する重要な仕組みでした。その後の金禄公債制度の導入により短い歴史に終止符が打たれましたが、賞典禄の存在は当時の社会情勢を物語るものであり、ゆかりのある人々の名は後世に語り継がれています。

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