箱館戦争

箱館戦争（はこだてせんそう）

箱館戦争は、1868年から1869年にかけて日本で展開された、戊辰戦争の一部としての重要な戦闘です。この戦争は新政府軍と旧幕府軍との間で繰り広げられ、特に旧幕府軍の拠点であった五稜郭がその舞台となりました。今回の戦争は、「五稜郭の戦い」とも称されることから、この戦いが持つ象徴的な意義がうかがえます。また、戦争の期間中に干支が変わったため、「己巳の役」としても知られています。

背景

1868年の4月、江戸城が無血開城を迎え、戊辰戦争の舞台は北陸と東北へと移動しました。同年5月には、新政府が徳川家に対して70万石への減封を決断したことが、8万人以上の幕臣に深刻な影響を与えました。この状況を受け、旧幕府軍の海軍副総裁であった榎本武揚は、幕臣たちを蝦夷地へ移住させ、防衛と開拓に従事させる計画を立てました。

榎本艦隊の移動

榎本は新政府への軍艦引き渡しを拒否し、1868年4月に艦隊を館山沖に移動させたのち、他の艦を新政府に引き渡しましたが、主要な艦船は保存しました。7月、榎本艦隊は仙台藩などからの支援要請に応じ、8月に仙台を目指して出航しました。艦隊には重役や彰義隊の生存者、フランスの軍人などが加わり、約2000人が乗船していましたが、不運にも悪天候に見舞われ、艦隊は離散し、数隻を失ってしまいました。

戦争の経過

榎本艦隊は最終的に仙台に集結した後、東北諸藩からの降伏が相次ぎ、戦闘は落ち着きを見せました。1868年10月には、艦隊は約3000名を率いて箱館に上陸し、ここでの勢力を拡大します。 旧幕府軍は、上陸後に迅速に箱館を占領しましたが、松前藩との戦闘が起こり、旧幕府軍は武力制圧を決定しました。

松前藩との戦い

松前藩は新政府へ恭順しつつも、奥羽越列藩同盟に参加していたため、旧幕府軍は指導者を派遣して降伏勧告を行いましたが、使者が殺害されるという事態に直面しました。最終的に、旧幕府軍は松前城に攻撃を仕掛け、その占領に成功しました。ここでの戦いを経て、蝦夷地の旧幕府軍の拠点を確保しました。

政権樹立と新政府軍の動き

1868年12月、旧幕府軍は蝦夷地で政権を樹立し、榎本武揚を総裁としました。その後、新政府軍が集結し、1869年2月には旧幕府軍の討伐に向けて約8000名の軍が青森に集まります。さらに、海軍の動きも強化され、新政府軍は宮古湾に向けて進撃し、新たな海戦が展開されることとなります。

激しい戦いと最終的な降伏

4月にかけての戦闘で、旧幕府軍は矢不来などの各地で新政府軍の攻撃を受け、士気も低下しました。そして、5月には箱館での総攻撃が開始され、旧幕府軍は次々と陥落し、降伏を余儀なくされます。特に、土方歳三の戦死は旧幕府軍にとって大きな打撃となりました。

終結

最終的に、1869年5月18日に五稜郭が開城することとなり、箱館戦争および戊辰戦争が終結しました。戦後、旧幕府軍の将校らは一時的に拘束されましたが、翌年にはほとんどが釈放されました。この戦争は、日本の近代化の過程において重要な意味を持つ出来事として記憶されています。

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