賞田廃寺跡

賞田廃寺跡について

賞田廃寺跡（しょうだはいじあと）は、岡山県岡山市中区賞田に位置する、仏教寺院の遺跡です。この遺跡は国の史跡に指定されており、古代吉備の歴史を物語る重要な遺構として注目されています。

遺跡の概要

賞田廃寺跡は、岡山市街地の北東部、龍ノ口山の南麓にあります。周囲からは古い瓦片が見つかっており、かつてこの地に寺院が存在したことが分かっていますが、寺院の名称は記録に残っていないため不明です。一般的には、古代吉備の豪族であった上道氏の氏寺の一つであると考えられています。

この地域は、古墳時代から奈良時代にかけての古代吉備の中心地であり、唐人塚古墳や備前国府跡、幡多廃寺跡などの古墳や遺跡も存在しています。そのため、賞田廃寺跡は古代吉備の歴史を探るための重要な地点となっています。

建設から衰退まで

遺跡は7世紀前半に最初の小堂が建てられ、7世紀中葉の飛鳥時代には本格的な寺院が営まれました。奈良時代には最盛期を迎えましたが、その後は徐々に衰退し、13世紀の鎌倉時代まで存続していたことが確認されています。32年後の1970年には発掘調査が行われ、この寺院遺跡の実態が明らかになりました。

さらに、2001年からの別の発掘調査では、室町時代にも何らかの仏教施設が存在していたことが判明しました。これらの調査によって、寺院の規模や関連する遺物が明らかになり、土台や瓦の様子などが調査されました。

発掘調査の成果

1970年の発掘調査によれば、寺院の規模は約1町、すなわち110平方メートル程度であることが確認されています。また、金堂や塔、西門、回廊、築地跡などの構造物の一部が見つかりました。特に飛鳥時代と奈良時代には大規模な整備が行われたことが明らかになっており、出土した奈良三彩や瓦、基壇の石材により、上道氏と中央政権との強いつながりが示唆されています。

遺跡の北東には瓦窯跡も見つかり、この寺院の瓦は地元で製造されていたことがわかります。また、2001年の調査で金堂の基壇のサイズが確認され、東西両塔の中心線から金堂の位置が多少ずれていることも明らかになりました。

史跡の重要性

賞田廃寺跡は、岡山市における重要な文化財として評価され、昭和47年（1972年）には国の史跡に指定されました。アクセスは宇野バスの四御神線の脇田停留所から徒歩約1分と便利で、多くの人々が訪れています。この遺跡は古代の仏教文化を体感するための貴重な場となっており、今後もさらなる研究と保全が期待されます。

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