賠償責任保険

賠償責任保険とは

賠償責任保険は、個人の日常生活や企業の業務遂行、または所有・管理する施設が原因で発生した偶然の事故により、第三者に対して法律上の賠償責任を負った場合に、被保険者が被る損害を補償する保険です。この損害には、賠償金の支払いだけでなく、対応にかかる費用も含まれます。

概要

賠償責任保険は損害保険の一種であり、特定の物に対する損害ではなく、被保険者が賠償責任を負担することで総財産に生じる損害を対象とする点が特徴です。また、被害者という第三者の存在を前提とする点で、火災保険や傷害保険とは異なります。

対象となる主な法律上の賠償責任は、民法上の不法行為責任や債務不履行責任です。生産物賠償責任保険では、製造物責任法の製造物責任も対象となります。被保険者の故意による行為は免責となり、過失による責任が対象となります。ただし、被保険者の犯罪行為は、免責事由とはされていません。

自動車保険や傷害保険の特約で賠償責任をカバーするものもありますが、一般的に賠償責任保険という場合は、独立した保険商品や特約を除きます。これらを「広義の賠償責任保険」と呼ぶことがあります。

広義の賠償責任保険の例

自動車保険（任意保険）
自動車損害賠償責任保険（自賠責）
運送保険
航空保険
船舶保険
原子力責任保険
船客傷害賠償責任保険
労災総合保険（使用者賠償）
機械保険、組立保険、建設工事保険、ボイラ・ターボセット保険の賠償責任特約

賠償責任保険の種類

賠償責任保険は、対象者や業務内容によって様々な種類があります。

個人向け賠償責任保険
個人賠償責任保険
ゴルファー保険
テニス保険
一般企業向け賠償責任保険
施設所有管理者賠償責任保険
請負業者賠償責任保険
生産物賠償責任保険
受託者賠償責任保険
特定業務向け賠償責任保険
自動車管理者賠償責任保険
旅館
LPガス販売
旅行業者
情報サービス
専門職業人賠償責任保険
医師賠償責任保険
公認会計士賠償責任保険
建築家賠償責任保険
弁護士賠償責任保険
司法書士賠償責任保険
宅地建物取引士賠償責任補償制度
瑕疵保証責任保険

保険会社は、被保険者の事業の種類や対象とする損害に応じて、多種多様な保険商品を提供しています。

主力商品としては、個人向けの総合補償である個人賠償責任保険や、企業向けの施設所有管理者賠償責任保険、請負業者賠償責任保険、生産物賠償責任保険、およびそれらを包括する企業総合賠償責任保険（CGL）があります。

賠償責任保険の機能

賠償責任保険には、主に以下の4つの機能があります。

1. 損害填補機能: 損害賠償金によって損害が補填されます。
2. 事業継続機能: 企業が経済的損失によって事業継続が困難になることを防ぎます。
3. 権利保護機能: 保険会社が被保険者に代わって被害者と交渉できます。
4. 被害者保護機能: 被保険者による賠償金の支払いを間接的に担保します。

契約構成

保険契約は、共通事項を定める普通保険約款をベースに、対象とする事故や損害の範囲、免責事項などを規定する特別約款、さらに必要に応じて特約条項を適用して構成されます。約款と保険証券を合わせて一つの契約となります。

保険金の種類

保険金には、損害賠償保険金と費用保険金があります。

損害賠償保険金: 第三者への損害賠償金を補填します。
費用保険金: 以下の費用を補填します。
求償権保全費用
損害防止軽減費用
争訟費用
協力費用
緊急措置費用

その他重要な用語

填補限度額: 保険金で填補される限度額。
免責金額: 保険会社が保険金支払いの責任を免れる金額。
縮小填補割合: 保険金を計算する際に、損害額から免責金額を控除した後の金額に乗じる割合。
免責事由: 保険会社が保険金の支払いを免れる事由（例：被保険者の故意、地震、津波など）。
保険料: 保険契約の対価として支払う金額。リスクや補償内容によって計算方法が異なります。
概算保険料: 保険期間中の変動要素に基づいて概算で支払われる保険料。確定保険料との差額は後で精算されます。
最低保険料: 保険会社が受け取るべき保険料の最低額。
重複保険契約: 同一の危険に対して複数の保険契約がある場合、保険金は按分して支払われます。
証券適用地域: 保険が適用される地域。
準拠法: 保険契約を解釈する際に用いられる法律。
管轄裁判所: 訴訟が生じた場合に管轄する裁判所。

賠償責任保険は、賠償責任リスクに備えるための重要な手段です。保険の種類や契約内容を理解し、自身の状況に合った保険を選ぶことが大切です。

もう一度検索