賢聖障子

賢聖障子について

賢聖障子（げんじょうのしょうじ）は、内裏の紫宸殿に設置された特別な間仕切りです。この美しい押障子は、「北の障子」や「絹障子」とも呼ばれています。紫宸殿の北廂九間の間に配置された9枚の障子から成り、これは日本の歴史や文化において非常に重要な位置を占めています。

賢聖障子の構造

賢聖障子は、中央に負文亀と下に狛犬が描かれた特異なデザインを持ち、左右にそれぞれ古代中国の賢聖の画像が描かれており、合計32人の賢聖が表現されています。障子の上部には色紙形が設けられ、その下には賢聖の像があります。裏面には極彩色の花鳥が描かれており、かつては唐花が描かれていたとの記録もあります。また、色紙形には各賢聖の功績や事蹟が記され、文献『禁秘抄』や『古今著聞集』によると、過去には色紙形に本文が記されていなかったこともあったようです。

歴史的背景

賢聖障子の始まりは弘仁年間とされ、陽成天皇の時代にかけて完成したとも言われています。また、寛平年間にも描画が行われたとの記録があり、特に小野道風が七回も揮毫したことで知られています。最初、賢聖障子は儀式の際にのみ使用され、通常は他の場所に保管されていましたが、里内裏が閑院内裏に移された後は常に立てられるようになりました。

現在残っている最古の賢聖障子は、狩野派の絵師・狩野孝信によって慶長19年（1614年）に描かれたもので、仁和寺に所蔵されており、重要文化財に指定されています。

江戸時代の改修

江戸時代に入ると、賢聖障子は寛政元年（1789年）に行われた内裏造営の際に再評価されました。この時、江戸幕府は儒学者柴野邦彦に図像の検証を依頼し、住吉廣行に賢聖像を描かせました。改修に際して、中央上部の負文亀の図を修正し、賢聖像も32人の中の特定の人物が歴史的資料に基づいて描かれました。これにより、賢聖障子の魅力がさらに増すこととなりました。色紙の文は賀茂保孝が記し、後に嘉永7年（1854年）には内裏の火災により賢聖障子が被害を受けたため、住吉弘貫が修補を行いました。

結論

賢聖障子は歴史的な意義だけでなく、芸術的にも素晴らしい作品です。多くの賢聖の名や色紙形の細かな特徴が、その文化的な価値を物語っています。現代の私たちにとっても、その美しさや背景にあるストーリーは、重要な文化遺産として学び続けられるべきものです。

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