賤母発電所

賤母発電所の概要

賤母発電所（しずもはつでんしょ）は、岐阜県中津川市山口に位置する関西電力が運営する水力発電所です。この発電所は木曽川の本流沿いにあり、ダム水路式方式で運用されています。最大出力は1万6,300キロワットに達し、地域の電力供給に貢献しています。発電所は1919年に運転を開始し、長い歴史を持ちながらも、技術革新を積み重ねることで本来の機能を維持し続けています。

発電所の構造

賤母発電所は、山口ダムから取水を行い、発電のための水を供給しています。山口ダムは重力式コンクリートダムで、堤高は38.60メートル、堤の長さは181.40メートルです。ダムは1957年に湛水を開始し、発電所の根幹を支える重要な施設です。初期の設計では水路式発電所として構築されており、木曽川には固定式取水堰が設けられていましたが、その後の設計変更によりダム式へと移行しました。

発電所本体までは、長さ3,128.7メートルの無圧な導水路が整備されており、これによって水が供給されています。発電所内部では、水車を駆動するために4つの水圧鉄管があります。水車発電機は、最初の3台（1-3号機）と1922年に増設された4号機で構成され、それぞれ異なる水車が用いられています。これらの機械は経年劣化を経て、1973年に東芝製の新しいものと交換され、運用開始当初の日本製品と共に過去の技術の蓄積を感じさせています。

歴史的背景

賤母発電所の開発は明治から大正の時代に遡ります。名古屋電灯によって1908年に水利権を取得したことがスタートで、以後実業家福澤桃介が主導して開発計画が進められました。1919年には水路工事が完了し、7月からは発電を開始しましたが、その後も増設や設備強化が続けられました。

1921年には合併を経て大同電力となり、さらに使用水量を増やすことに成功し、発電出力も引き上げられました。1934年には新たな水利権を取得し、さらなる発電力の増強が図られました。これにより、賤母発電所は当初からの計画を超え、自身の能力を発揮するようになりました。

第二次世界大戦後、賤母発電所は国の管理下で運営されるようになり、1960年代には関西電力に引き継がれました。これによって、さらなる発展と安定した電力供給が可能となりました。今では地域の経済の一翼を担う重要な発電設備となっています。

現在の運営と未来

賤母発電所は、2020年に運転開始100周年を迎えました。同時に、周囲を整備しながら地域や関係者との交流を深めるイベントも行われています。これからも発電所は持続可能な電力供給の一環を担い、地域社会と共に成長していくことが期待されています。発電所の内部には「賤母発電所紀功碑」が建立されており、歴史的意義が今も感じられます。

このように、賤母発電所は技術と歴史が融合した施設として、地域の電力供給の重要な役割を果たし続けています。

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