賦引付

賦引付（くばりひきつけ）についての詳細

賦引付とは、鎌倉幕府や室町幕府の時代に用いられた訴訟手続きの一部を記録した文書のことを指します。賦とは、特定の権利や義務を明確にするために行われる訴訟手続きであり、その内容を記した引付は特に重要な役割を果たしました。この引付は、賦を担当していた賦奉行によって作成され、訴状や具書の控としての性質を持っています。

賦引付の歴史的背景

賦引付の重要な特徴の一つは、正式な賦奉行によって作成されたわけではなく、室町幕府の政所代として活躍していた蜷川家によって保存されている点です。蜷川家の賦引付は、現存する唯一のものとして知られており、その他にも賦引付である可能性のある文書がいくつか残されていますが、その中で蜷川家のものが高く評価されています。

室町時代において、賦引付は文明5年（1473年）から天文19年（1550年）までの期間に断続的に作成されました。この時期には、特に徳政令や分一銭に関する訴訟が多発しており、蜷川家の賦引付はその社会情勢を反映したものとなっています。

賦引付と関連文書

賦引付は、単なる訴訟手続きの記録にとどまらず、当時の社会の動向を理解する上でも重要な資料です。また、賦引付と類似する文書として「加判引付」または「御判引付」と呼ばれるものがあります。これは、実際の判決文が残されたもので、奉行人の連署や花押が記載されており、訴訟手続きの最終結論に至る過程を知る上で貴重な資料となっています。

参考文献

このように賦引付は、鎌倉幕府と室町幕府の訴訟制度や社会情勢を知るための重要な文書です。さらなる研究や理解を深めるためには、関連する参考文献を読むことも推奨されます。以下に、賦引付に関連する著作を挙げておきます。これらの資料を通じて、賦引付の歴史的意義やその発展についてより幅広く知識を深めることができるでしょう。

• - 桑山浩然「賦引付」（『国史大辞典 4』（吉川弘文館、1984年） ISBN 978-4-642-00504-3）
• - 下坂守「賦引付」（『日本歴史大事典 1』（小学館、2000年） ISBN 978-4-095-23001-6）

賦引付は、鎌倉や室町時代の訴訟の基盤を理解するための鍵ともいえる資料であり、その価値は今もなお評価されています。

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