賽銭

賽銭（さいせん）とは

賽銭とは、神社や寺院において、参拝者が神仏に祈願成就の感謝や、願いを込めて奉納する金銭のことです。かつては金銭ではなく、米や幣帛などが供えられていました。

賽銭の歴史

賽銭の起源は、神仏への捧げ物として米を撒いたり、紙に包んだ米を供えたりする風習に遡ります。中世以降、貨幣経済が浸透するにつれて、米に代わって金銭が供えられるようになりました。当初は、神前や仏前に直接置かれていましたが、参拝者が増えるにつれて賽銭箱が設置されるようになりました。現在のような賽銭箱が普及したのは近世以降のことです。

賽銭の意味

賽銭は、単なる金銭の奉納ではなく、神仏への信仰心を表す行為です。賽銭を納める際には、心の中で願い事を唱えたり、感謝の気持ちを伝えたりします。また、賽銭は、自身の罪を金銭に託して祓うという意味合いも持つという説もあります。賽銭箱に入れる硬貨の音にも、罪を祓う意味があるとも言われています。

賽銭箱

賽銭箱は、通常、長方形で上部に桟が取り付けられており、中に入れた金銭を容易に取り出せない構造になっています。材質は木製が一般的ですが、近年では金属製のものも増えています。また、賽銭泥棒対策や外国人観光客向けに、電子マネーやQRコード決済に対応した賽銭箱も登場しています。賽銭箱は単なる箱ではなく、そのデザイン性の高さから、工芸品として注目されることもあります。

各国の賽銭

日本以外にも、中国や韓国などのアジア諸国では、寺院や道教の寺などで賽銭箱のようなものが置かれています。

中国、台湾、香港: 「香油錢」と呼ばれ、線香や蝋燭の代金という意味合いがあります。
韓国: 「福田函」「佛錢函」などと呼ばれる箱が設置されています。
英語圏: 教会への寄付はdonationやofferと呼ばれ、奉献箱が用いられます。

賽銭の課題

近年、寺社にとっては、賽銭として集まる小銭の金融機関への入金手数料が負担になるという問題も発生しています。特に一円硬貨は、手数料が総額を上回る場合もあり、寺社の経営を圧迫する要因となっています。そのため、寺社によっては、金融機関を介さずに両替サービスを行うなどの対策を講じています。

賽銭に関する豆知識

賽銭は、必ずしも多額である必要はありません。大切なのは、神仏への感謝の気持ちです。
博物館などでは、展示物の破損を防ぐため、仏像や神像に賽銭を上げないよう注意書きがされている場合があります。
賽銭箱を模した貯金箱が、観光地などで販売されています。

関連項目

トレヴィの泉：コインを投げ入れると願いが叶うという言い伝えがあります。
投げ銭：インターネットの動画配信などで、視聴者が配信者に送る金銭のこと。

賽銭は、日本の伝統文化の一つであり、神仏への信仰心を表す大切な行為です。その歴史や意味を知ることで、より深く理解し、尊重することが大切です。

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