赤い夕陽の三度笠

『赤い夕陽の三度笠』

1968年8月5日に発売された「赤い夕陽の三度笠」は、橋幸夫がリリースした100枚目のシングルです。この曲は、恩師である作詞家の佐伯孝夫と作曲家の吉田正によって制作された股旅ものの楽曲です。橋幸夫は潮来笠でデビュー後、多数の股旅ものを発表し、彼のキャリアの中でも特に重要な作品となっています。

曲の背景

橋幸夫は、自身のデビューから8年を迎えた際に、100枚目のシングルを出すことができたことに誇りを持っていました。彼はこのことを、「自分で言うのはヘンですが、よくやって来たな」と振り返っており、その偉業を意識しつつも、当時は特別な意図で100枚目のシングルとしてリリースされたわけではなかったと語っています。

本作は、リズムや音のスタイルにおいても変化を見せています。これまでの股旅ものと比較すると、「赤い夕陽の三度笠」はエレキ・ベースを基にしたサウンドで構成されており、古風なスタイルからの進化を示しています。具体的には、従来の股旅もののテンポである♪=64や♪=67と異なり、本作品はより速い♪=128のリズムを持っており、これは「8Beat Rock」とされるスタイルに近いものです。

コラボレーションとパフォーマンス

橋幸夫は、三味線演奏の静子との共演もこの曲が最後となりました。彼らの最初の共演は潮来笠から始まっており、本作ではその関係の集大成ともいえるでしょう。実際、静子との最後の共演は1981年の『昭和音頭』であり、この楽曲での共演が特に大きな意味を持つと言えます。

また、橋幸夫はこの年の第19回NHK紅白歌合戦において、白組のトリを務め、「赤い夕陽の三度笠」を披露しました。このパフォーマンスでは、舟木一夫や西郷輝彦と共に立ち回りを演じ、観客に強い印象を与えました。

収録内容

「赤い夕陽の三度笠」のB面には「旅寝の子守唄」が収録されています。この楽曲も同様に佐伯孝夫が作詞、吉田正が作曲・編曲を担当しており、旧来のスタイルを踏襲した作品となっています。

収録アルバムとしては、『颯爽!橋幸夫 股旅名曲集』や『TWIN BEST』、『股旅演歌ベスト』、『吉田正 自撰77曲（下）』などに収められており、多くのファンに支持されています。

まとめ

橋幸夫の「赤い夕陽の三度笠」は、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品です。トラディショナルな股旅ものの進化した姿を示すと同時に、多くの共演者との思い出や緊密な関係性をも反映しています。このシングルは、彼の情熱と努力を感じさせる一曲であり、聴く人々に深い感動を与えることでしょう。

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