第19回NHK紅白歌合戦

第19回NHK紅白歌合戦の概要

1968年12月31日、東京の宝塚劇場で行われた第19回NHK紅白歌合戦は、21時から23時45分までの間、NHKにて生放送されました。この年の紅白歌合戦では、マンネリ化防止のために新しい試みが多く取り入れられました。

司会者の選考と起用

今回の司会者は、紅組の水前寺清子、白組の坂本九、そして総合司会には放送界のベテラン、宮田輝が選ばれました。特に興味深いことは、数年ぶりにNHKアナウンサー以外が白組司会に起用されたことです。この選考においては、「歌謡界に精通し視聴者の支持を得られる」といった基準が設けられました。司会者が決定したのは、発表の前夜だったというエピソードも興味を引きます。また、宮田は今回の総合司会を務めることで、これまでに紅組、白組、そして総合司会としての経験を持つことになりました。

出場歌手と選考の背景

出場歌手に関しては、特定の歌手が前回から不選出となる場合がありました。例えば、紅組では金井克子や山本リンダが今回の出場を逃しましたが、その一方でピンキーとキラーズが男女混合グループとして初めて紅組に登場するなど、新しい試みも行われました。このような柔軟な対応は、紅白歌合戦の伝統を維持しつつ、時代の変化に合わせようとする意志が感じられます。

演奏者と審査員

演奏に関しては、紅組と白組それぞれに腕前のある指揮者が起用され、特に東京放送管弦楽団がオーケストラボックスでの演奏を担当しました。また、審査員にはスポーツ選手や医師、作家、俳優など、多彩な顔ぶれが並びました。特に、審査委員長にはNHK芸能局長が選ばれ、その影響力の下で審査が行われました。

当日のステージエピソード

ステージ進行は、水前寺と坂本が主導し、宮田がサポート役に徹する形で行われました。この流れの中で、特に記憶に残るハプニングとして、水前寺がオープニングで年号を言い間違える場面や、青江三奈による歌唱中の音色に関する意外な演出などが挙げられます。また、今回の紅白歌合戦では、司会者が歌手の出番で直接対決するという新しい試みもあり、注目されました。

後日譚と影響

この回で江利チエミは連続出場記録を更新しましたが、その後の出場の舞台から姿を消すことになり、以後の紅白歌合戦に与えた影響は小さくありません。さらに、水前寺はこの司会ぶりが評価され、後に日本テレビの番組で紅組キャプテンに起用されるなど、キャリアに新たな道を開くきっかけとなりました。

結論

第19回NHK紅白歌合戦は、ただの年末の音楽番組以上のものとして、日本の音楽文化に新たな章を刻んだイベントと言えるでしょう。常に変化し続けるこの番組の精神、そして日本の音楽界との関係は、今後も大きな影響を与え続けることでしょう。

もう一度検索