赤い機関車ジェームズ

『赤い機関車ジェームズ』

概要

『赤い機関車ジェームズ』（原題: James the Red Engine）は、ウィルバート・オードリー牧師による「汽車のえほん」シリーズの第3巻で、1948年にイギリスで発表されました。この絵本は、低学年の児童を対象にしたもので、4つの短編ストーリーが収められています。挿絵はレジナルド・ダルビーが初めて手掛けることになり、日本語版は1973年にポプラ社から出版されましたが、2004年に品切れとなり、2005年に新装版が登場しました。さらには2010年にミニ版も発売されています。新装版以降は「赤い機関車ジェームズ」という名称が使用されています。

成立の過程

本巻は、第2巻の最終話に登場したジェームスに焦点を当てたものです。オードリー牧師自身は、この巻について全26巻の中で最も気に入っていないと述べています。それには、初めて挿絵を担当したダルビーに対する不満や、締切に追われて無理に物語を作成したことが影響していると考えられます。また、1948年1月にイギリス国鉄が発足し、それに伴いソドー島の鉄道設定も変更されたため、ストーリーに新しい要素が加わっています。

収録作品

本書には以下の4つの物語が含まれています。

1. ジェームスとぼうし (James and the Top-Hat)
ジェームスが蒸気を吹きかけて局長の帽子を台無しにしてしまう出来事です。このエピソードは、オードリーが実際に目撃した出来事に基づいています。

2. ジェームスとブーツのかわひも (James and the Bootlace)
ブーツの皮ひもをめぐる冒険を描いた話で、ジェームスの友達が関わります。

3. いたずら貨車 (Troublesome Trucks)
困った貨車たちに振り回されるジェームスの様子を描いたストーリーです。

4. 急行をひいたジェームス (James and the Express)
急行を引くことになったジェームスの奮闘が描かれた物語です。

登場キャラクター

メインキャラクター

• - ジェームス: 赤い機関車で、他の巻と異なり、屋根の色がボディと同色に塗られています。真空ブレーキホースの位置や標識灯のデザインにも特徴があります。
• - エドワード: 青色の機関車で、サイドロッドも青く塗装されています。
• - トーマス: 車体番号がなく、さらにサイドロッドも青色です。
• - ゴードン: 大きな機関車。
• - ヘンリー: 青い塗装が特徴で、ゴードンとの描き分けには苦労しています。

サブキャラクター

• - 小さな機関車: おそらく青いタンク機関車で、ジェームスを冷やかす場面があります。
• - コンパートメント客車: 挿絵によって描かれ方に一貫性がなく、客車の長さもまちまちです。

人物

• - ジェレマイア・ジョブリング: ジェームスにブーツの皮ひもを貸す役割を持つ人物です。

このように、『赤い機関車ジェームズ』は、子どもたちに楽しい冒険を届ける絵本として、今なお愛されています。作品の裏にはオードリー牧師の苦悩や試行錯誤があったことがうかがえ、絵本としての魅力が深まります。

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