赤ちゃん教育

『赤ちゃん教育』（原題：Bringing Up Baby）は、1938年にRKO Picturesによって制作された、スクリューボール・コメディの金字塔と言える作品です。

本作の主人公は、スーザンという名前の、わがままでお転婆な令嬢。彼女は、なんとヒョウをペットとして飼っており、その行動は予測不能で、周囲を常に振り回しています。そんなスーザンの前に現れるのが、古生物学者であるデイヴィッド。真面目でお堅い性格のデイヴィッドは、スーザンと出会ったことで、彼の穏やかな生活は一変します。

スーザンは、デイヴィッドがある重要な化石の骨を組み立てるのを手伝うという名目で、彼に近づきます。しかし、彼女の奔放な行動と、ヒョウの“Baby”の存在によって、化石は散らかり、デイヴィッドの研究はとんでもない方向へと進んでいきます。彼は、スーザンとBabyに振り回されながらも、次第に彼女の明るさや魅力に惹かれていきます。

キャサリン・ヘプバーンとケーリー・グラントという、ハリウッド黄金時代のスター俳優二人が醸し出す抜群のコンビネーションは、本作の大きな見どころです。ヘプバーンは、型破りで自由奔放なスーザンを、軽妙洒脱に演じきっています。一方、グラントは、真面目ながらもユーモラスなデイヴィッドを好演し、ヘプバーンとの絶妙な掛け合いは、笑いとロマンスを絶妙に織り交ぜています。

監督は、数々の名作を世に送り出したハワード・ホークス。彼の得意とする、テンポの速い軽妙な演出と、予測不能なストーリー展開は、観客を飽きさせません。さらに、メイ・ロブソンやチャーリー・ラグルスといった個性的な脇役たちの存在感も、作品全体の雰囲気を盛り上げています。

『赤ちゃん教育』は、単なるラブコメディとしてだけでなく、当時の社会風俗や、女性の自立といったテーマも内包していると言えるでしょう。ヘプバーン演じるスーザンは、まさにホークス的女性像の典型であり、自立した女性像の象徴として、現代においても高く評価されています。

本作は、公開から80年以上経った今でも色褪せることなく、多くの人々に愛され続けています。軽快なテンポ、予測不能な展開、魅力的なキャラクター、そして名優たちの演技。それらが織りなす、至高のスクリューボール・コメディを、ぜひ一度ご堪能ください。日本語吹替版も存在し、1970年には東京12チャンネルで放送されました。allcinema、KINENOTE、IMDbなどでも作品情報を確認できます。

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