赤と黒 (宝塚歌劇)

『赤と黒』について

『赤と黒』は、宝塚歌劇団が誇るミュージカル作品であり、スタンダールの小説が原作となっています。この作品は、1957年に菊田一夫の脚本による「赤と黒」と、1975年に柴田侑宏の脚本による「恋こそ我がいのち -スタンダール作『赤と黒』より-」という2つの版があります。両版とも、強烈な人間ドラマを描いており、多くの観客を魅了してきました。

あらすじ

物語の主人公であるジュリアン・ソレルは、貧しい家庭に生まれ育った美青年です。彼は地位を得るために聖職者を志し、町長のレナール家でラテン語の家庭教師として働くことになります。彼はそこで町長の妻であるレナール夫人と運命的な恋に落ちますが、この恋は密告によって終わりを迎え、ジュリアンはレナール家から追放されてしまうのです。

その後、ジュリアンは神学校に入学するものの、退学してしまい、次にラモール侯の秘書として働くことになります。そこで彼は積極的で魅力的な令嬢マチルドと出会い、再び恋に落ちます。しかし、ジュリアンの過去が明るみに出ることで、彼の出世の夢が打ち砕かれ、結婚は白紙とされてしまいます。失意のジュリアンは故郷に帰り、教会で祈りを捧げるレナール夫人を見かけた際に、衝動的に彼女を銃撃してしまうという衝撃的な結末を迎えます。

登場人物

• - ジュリアン・ソレル: ナポレオンを崇拝する青年でありながらも、聖職者としての道を選び、出世を目指す。
• - レナール夫人: 町長の誇り高い妻で、ジュリアンとの恋に翻弄される。
• - フーケ: ジュリアンの友人で支え合う関係。
• - マチルド: ラモール侯の娘で、ジュリアンとの愛に溺れる。

楽曲と演出

この作品は、数回にわたって上演されており、各版の演出や楽曲が異なる点も特徴です。菊田版は1957年に初演され、そのタイトルは『赤と黒 -ジュリアン・ソレルの恋と人生-』であり、二部構成の34場から成ります。当初、内容が宝塚風ではないとして賛否が分かれました。

一方、柴田版は1975年に「恋こそ我がいのち」として上演され、タイトルを後に「赤と黒」に変更。併演に『イマージュ』があり、12の場で構成された作品として再編されました。重要なキャストの変更があったり、主演が退団を控えていたりするなど、各公演には独自のドラマが伴いました。

これまでの上演歴

このミュージカルは、これまで多くの演出家やキャストによって受け継がれてきました。1989年や2008年、2020年など、数々の版が異なるスタイルで上演され、観客に新たな感動を提供しました。特に2008年の星組版では、安蘭けいがジュリアン役を熱望したことで話題を呼びました。

結論

『赤と黒』は、深い人間関係と情念、出世への欲望と恋愛が交錯する物語であり、毎回新たな解釈が加えられつつ、今も愛され続けています。演者たちの情熱と才能が折り重なり、観客に感激を与え続けるこの作品は、宝塚歌劇団の宝として位置づけられています。

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