赤の同盟

東京事変、配信シングル『赤の同盟』：ドラマ主題歌と個性豊かな楽曲群

2020年、日本の音楽シーンに衝撃を与えた東京事変の配信限定シングル『赤の同盟』。この作品は、単なるシングルリリース以上の意義を持つ、多様な魅力が凝縮された作品と言えるでしょう。

まず、最大の注目点は、日本テレビ系水曜ドラマ『私たちはどうかしている』の主題歌として書き下ろされた表題曲「赤の同盟」です。ドラマの世界観を見事に表現したこの楽曲は、東京事変ならではの独特なサウンドと椎名林檎の圧倒的な歌唱力で聴く者を魅了します。ウスイヒロシ監督によるミュージックビデオも制作され、『ADULT VIDEO』以来となる同監督とのタッグが話題となりました。

シングルには「赤の同盟」に加え、さらに2曲が収録されています。

1曲目は「名実共に」。この楽曲の最大の特徴は、歌詞が全て博多弁で書かれている点です。実はこの曲は、以前「あまおういちご」というタイトルで作曲家・伊澤一葉からの依頼によって制作されたものの、ボツになった曲に手を加えて完成したもの。歌詞の中には「あかい・まるい・おおきい・うまい」というあまおういちごの特徴を巧みに織り交ぜた、遊び心あふれる表現が見られます。

そして3曲目「玉座の罠」。ドラマチックなサウンドと、椎名林檎の表現力の高さが見事に融合した楽曲です。タイトルからも想像できるように、ドラマチックで物語性を感じさせる構成となっています。

全編、椎名林檎による作詞、東京事変による編曲というクレジットにも、彼らの音楽に対するこだわりが感じられます。

『赤の同盟』は、2021年6月9日に発売された東京事変6作目のスタジオアルバム『音楽』の初回生産限定盤にもCDとして収録されました。これは、このシングルが単なる配信限定作品ではなく、彼らの音楽活動において重要な位置を占めていることを示しています。

さらに、このシングルは数々の音楽番組で披露されました。『ミュージックステーション』、『CDTVライブ!ライブ!』、『2020 FNS歌謡祭 夏』など、人気番組への出演を通して、楽曲の認知度が大きく向上しました。『2020 FNS歌謡祭 夏』では、『女の子は誰でも』も同時披露され、東京事変の幅広い音楽性と人気を改めて示すことになりました。

『赤の同盟』は、ドラマ主題歌という枠を超えた、東京事変の音楽的探求と表現力の高さを示す、非常に重要な作品と言えるでしょう。その多様性と完成度の高さは、音楽ファンを魅了し続けるに違いありません。それぞれの楽曲が持つ個性を際立たせつつ、全体として一つのストーリーを紡いでいるような、聴き応えのあるシングルとなっています。

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