赤んぼ少女

赤んぼ少女

『赤んぼ少女』（あかんぼしょうじょ）は、1967年に講談社の週刊少女フレンドにて連載された楳図かずおの漫画です。この作品は、独特のサスペンスホラーの要素を持ちながら、家庭内の複雑な人間関係や葛藤を描写しています。後に2008年には映画化されるなど、多くのメディアで語り継がれています。

概要

本作は、生まれた時の取り違えにより孤児として育った少女・南条葉子が、赤ん坊の姿のままで成長が止まった義姉・南条タマミに執拗に攻撃される様子を描いています。タマミは言葉を話せる知能を持ちながらも、外見は幼い赤ちゃんのままです。この物語は、見えない恐怖と家庭内の愛憎劇が交錯し、読者に深い印象を与えます。

あらすじ

物語は、南条葉子が生家である南条家に転がり込むところから始まります。葉子は、自身の出生時に起きた取り違えによって孤児として育ってきましたが、ある日、父親に見つけ出され、幸せな家庭生活が待っているかのように思えました。しかし、この平穏な夢は、彼女の義姉タマミによってあっけなく崩れ去ります。

タマミは普段大人しく振る舞う赤ん坊ですが、実際には非常に高い身体能力を持ち、葉子に対して執拗に暴力を振るいます。葉子は家庭における愛情と恐怖の狭間で苦しみ、彼女の平穏な日々は次第に暗雲が立ち込めてくるのです。

登場人物

• - 南条葉子：本作のヒロインで、12歳の少女。取り違えで孤児として育ったが、父によって再び家族のもとで暮らすことになる。しかし、愛情を求める葉子に対し、タマミが暴力をふるうことで彼女の生活は脅かされます。
• - 南条タマミ：葉子の義姉。赤ん坊の姿のまま成長が止まっているが、実際の知能は高く、様々な恐怖行為を働く。嫉妬心から叶わぬ普通の生活を望んでいるが、悲劇を引き起こす存在でもあります。
• - 南条夕子：葉子の実母でタマミの養母。タマミに対して複雑な感情を抱いています。
• - 南条家の父：葉子を疎んじるタマミに厳しい態度を取りますが、タマミの暴力によって重傷を負う。

また、葉子のボーイフレンド・吉野高也は、タマミの異様な行動を心配しますが、タマミの美しさや能力に翻弄されながら、物語は進行します。

映画版

2008年に公開された映画版では、原作のエッセンスを引き継ぎながらも設定やストーリー展開が大きく変更されています。舞台は昭和35年に設定され、葉子とタマミが生まれた背景が掘り下げられています。キャッチコピーは『あの伝説のトラウマ作品、戦慄の映画化!』です。

総括

『赤んぼ少女』は、単なるホラー漫画に留まらず、愛情と嫉妬、家庭内の悲劇を深く描写している作品です。楳図かずおの視点が加わることで、恐怖と人間ドラマが巧みに交差し、読者に強い印象を残す作品となっています。

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