赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律

赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律

赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律（せきじゅうじのひょうしょうおよびめいしょうとうのしようのせいげんにかんするほうりつ）は、赤十字、赤新月、赤のライオンと太陽の標章、またはこれらの名称に類似する記章や名称の使用を制限する日本の法律です。この法律は、1947年（昭和22年）12月10日に公布され、法令番号は昭和22年法律第159号です。

目的

この法律の主な目的は、「戦地にある軍隊の傷者及び病者の状態の改善に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約（第1条約）」の第44条、第53条、第54条の規定（赤十字の紋章等を保護するための規定群）と、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書の第18条を、日本国内で有効にすることです。これらの条約は、戦時における負傷者や病人の保護を目的としており、赤十字の標章は、その保護の象徴として重要な役割を果たしています。

管轄と連携

この法律は、厚生労働省社会・援護局総務課と国土交通省（旧運輸省）海事局総務課が共同で所管しています。また、外務省国際法局国際法課と特許庁審査業務部商標課と連携し、法律の執行にあたっています。これにより、国内法と国際法の両面から、赤十字の標章の適切な管理と保護が図られています。

概要

この法律の主な内容は以下の通りです。

標章等の無許可使用の禁止: 赤十字、赤新月などの標章や名称を、許可なく使用することを禁止しています（第1条）。
使用許可対象者: これらの標章や名称を使用できるのは、日本赤十字社（第2条）と、日本赤十字社から許可を受けた者（第3条）に限られます。許可対象者には、都道府県支部、市町村分区、奉仕団などのボランティアや、日本赤十字学園が含まれます。
罰則: 無許可でこれらの標章や名称を使用した場合は、懲役または罰金刑に処されます（第4条）。

赤十字標章の使用許可

平時における赤十字等の標章の使用許可権は、国際条約に基づき、各国赤十字社の管轄となっています。これは、戦時における軍の衛生要員等以外の、平時における標章の使用を管理するためです。

武力攻撃事態における特例

ただし、武力攻撃事態等においては、国民保護法第157条第2項により、この法律の規定にかかわらず、指定行政機関の長または都道府県知事が、医療機関や医療関係者に赤十字等の標章を使用させることが許可されています。これは、緊急時における医療活動を円滑に進めるための措置です。

過去の運用と変更点

以前は、自衛隊が「軍隊およびこれに準ずる組織」に当たらないと解釈されていたため、日本赤十字社は自衛隊に赤十字標章の使用を認めていませんでした。また、1947年の制定当初は、船舶に関する規定がありましたが、2004年の国民保護法制定時に削除されました。

商標法との関係

商標法第4条では、本法で規定する標章と同一または類似のものは、商標登録できないと定められています。これにより、赤十字の標章の商標としての濫用が防がれています。

構成

この法律は、以下の条文で構成されています。

第1条（標章及び名称の使用の制限）
第2条（日本赤十字社における標章及び名称の使用）
第3条（救護場所における使用の許可）
第4条（罰則）
附則

関連項目

赤十字社
日本赤十字社
日本赤十字社法
衛生兵
従軍牧師

外部リンク

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