赤堀又次郎

赤堀又次郎：古典研究と図書館運営に尽力した碩学

赤堀又次郎（1866年10月18日 - 1945年）は、明治から昭和にかけて、国学、国語学、書誌学、図書館学の分野で多岐にわたり活躍した学者です。古典研究の発展に大きく貢献し、早稲田大学図書館の運営にも深く関与しました。

生涯

明治初期の東京大学文学部では、洋学が重視される風潮の中で、和漢文学を専攻する学生は少数でした。小中村清矩の献策により、文学部に古典講習科が付設されると、赤堀はここに入学し、3年の課程を修了しました。古典講習科は本科に比べて人気があり、落合直文のような優れた学者を輩出し、古典研究の発展に貢献しました。

1888年に創立された私立言語取調所では、林美、落合直澄、逸見仲三郎と共に書籍の編纂に着手しました。これは後に『国語学書目解題』として出版されることになります。しかし、取調所は1890年に図書、器具、金員を帝国大学に寄付。この初稿も大学に引き継がれました。赤堀は大学で原稿の完成に取り組み、1897年に東京帝国大学文科大学に国語研究室が設置されると、原稿もそこに属し、校訂を経て出版に至りました。1898年から1900年には東京専門学校文学科で有職故実を講じています。

図書館運営への関与

赤堀は図書館運営にも深く関わりました。1894年には日本図書館協会の幹事に選出され、協会機関紙の発行調査委員も務めました。1904年、早稲田大学図書館（東京専門学校から改称）の商議員を嘱託され、市島春城（館長）と協力して蔵書の整備や運営に尽力しました。1917年の日本図書館協会会員氏名録には、特別会員として登録されています。

国書刊行会での尽力

市島春城が国書刊行会の事業に取り組むと、赤堀も評議員として運営に貢献しました。刊行会が解散後、後継企業として続群書類従完成会が設立されると、そのスタッフとして活動しました。

人物像

山田孝雄の回想によると、赤堀は気難しい性格だったようです。上田萬年の家に寄宿していた際、遠慮なく食事に文句を言うなど、周囲を困らせることもあったと伝えられています。

『国語学書目解題』の出版を機に、上田萬年との関係が悪化したことも知られています。上田は国語研究室名義での出版を希望しましたが、赤堀が自身の名前で出版したため、上田の不興を買ったとされています。

家族

国学者・赤堀象万侶の次男として生まれ、伊勢国一志郡久居（現在の三重県津市）の赤堀家の養子となりました。父・象万侶は針綱神社の神官で、維新後は春日神社の祀官を務めた国学者でした。妻の三子は、東京大学文学部附属古典講習科の同期生である鹿島則文の長男・則泰の妹です。

著書

赤堀又次郎は、数多くの著書を著しました。

『国語学書目解題』(1902年)
『平家物語選釈』(1904年)
『忠烈美譚』(1909年)
『御即位及大嘗祭』(1914年)
『唯心史観』(1921年)
『仏教史論』(1923年)
『社寺の経営』(1926年)
『日本文学者年表』(1926年)
『読史随筆』(1928年)
『伊勢神宮遷宮物語』(1929年)
『紙魚の跡』(1930年)
『国体及国史のはなし』(1936年)


これらの著作は、国学、国語学、歴史、宗教など、幅広い分野にわたっています。また、編著や校訂も多数手がけ、古典籍の普及にも貢献しました。

赤堀又次郎は、その学識と活動を通じて、日本の学術・文化の発展に大きく貢献した人物として、記憶されるべきでしょう。

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