赤嶺政巳

赤嶺政巳のプロフィール

赤嶺政巳（あかみね まさみ）は、日本の計算機科学者及び技術者であり、現在は東芝研究開発センターの技監を務めています。また、東北大学大学院工学研究科の特任教授としても教鞭を取っています。彼は特に合成音声を自然なものに近づけるための「閉ループ型学習による音声合成技術」を開発したことで知られています。

教育とキャリア

赤嶺は1979年に琉球大学の理工学部電気工学科を卒業し、その後1982年に東北大学の大学院工学研究科情報工学専攻の修士課程を修了しました。さらに1985年には同大学の大学院で電子工学専攻の博士課程を修了しました。同年に東京芝浦電気株式会社（現在の東芝）に入社し、2005年からは東芝研究開発センターの技監を務めています。彼はまた、慶應義塾大学大学院理工学研究科の特任教授として2016年から活動し、2019年からは東北大学において特任教授としての役割を引き続き果たしています。

音声合成技術の革新

赤嶺が提唱した閉ループ型学習に基づく音声合成技術は、特に機械音声の品質向上に寄与しています。現在、カーナビゲーションシステムや駅のアナウンス、コールセンターの自動応答、ATM、家電製品のガイド、さらにはパソコンの読み上げソフトなど、様々な領域で合成音声が使われています。しかし、従来の合成音声は音質が悪く、聞く側に不自然な印象を与えることが多かったのです。

赤嶺は、音声データから合成音声のパラメーターを自律的に学習する方向性を取りました。具体的には、音質の課題を学習データと合成音声の誤差として定義したことが、彼の研究の重要な進展をもたらしました。そして、最小限の音声素片で音質を最大化する技術、すなわち「閉ループ学習法」を開発しました。この手法は、音声合成における音質向上を図りながら、メモリー使用量を抑えることができる画期的な技術です。

この技術により、カーナビゲーションの音声案内やビデオゲーム、電子辞書などさまざまな分野で応用が進み、特にカーナビでは市場シェアが9割近くに達しています。さらに、この学習法は言語に依存せず、英語（米国・英国）、スペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、オランダ語、中国語など、多様な言語にも対応可能です。

表彰と業績

赤嶺はその功績から多くの賞を受賞してきました。2001年にはテレコムシステム技術賞や文部科学大臣賞を受け、2003年には連作論文賞や市村産業賞を獲得しました。2008年には内閣総理大臣発明賞を受賞し、2013年には紫綬褒章を授与されています。さらに、2012年には電子情報通信学会の業績賞、2020年には同学会の功績賞を受けるなど、彼の専門分野における業績は広く認識されています。

赤嶺政巳の研究は、今後も音声合成技術の進化に大いに寄与することでしょう。

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