赤経

赤経（せきけい、Right Ascension）

赤経とは、天体の位置を表す座標値の一つであり、英語では「Right Ascension」または略して「RA」として知られています。この値は、通常、赤緯（赤道からの角度）と併せて使用され、天体の正確な位置を特定するための基本的な要素となります。

赤経の定義と天体の位置

赤経を理解するためには、まず天の北極、天の南極、そして天の赤道が基準となることを知っておく必要があります。恒星の赤経と赤緯自体は恒常的ですが、太陽や他の惑星は天空を移動するため、その赤緯の値は変動します。

特に、太陽に関しては、季節によってその位置が変わります。北半球では夏の期間中、太陽は天の赤道より北に位置し、この時の赤緯はプラスとなります。一方、冬になると太陽は南に位置し、赤緯はマイナスに変化します。春分の日と秋分の日には、赤緯が0度となり、この瞬間の太陽の位置が赤経の基準点「赤経0」とされます。

赤経の単位と表記法

赤経の測定は、天の赤道を24等分することで行われます。春分点は「0時」として設定され、その後は東向きに「1時」「2時」、そして「23時」までカウントします。このカウントは、「0h」「1h」「2h」と書かれ、1周が24時となることから、赤経の1時は15度に相当します。

さらには、赤経の1時を60の分に分割し、それを1分、さらにその前の1分を60分割したものを1秒と定義します。ただし、ここで使用される「分」や「秒」は、通常の角度とは異なる意味を持ち、注意が必要です。例えば、赤経を「23h58m20s」のように表記しますが、日本語では「分」「秒」とすると誤解を招くため、通常は「m」と「s」を使用します。

赤経と赤緯の組み合わせ

赤経と赤緯を組み合わせることで、天球上のあらゆる位置を特定することが可能です。ただし、春分の日基準の太陽の位置は、地球の歳差運動によって徐々にずれが生じるため、古い観測結果を参照する際には補正が求められることがあります。この補正は、年ごとに約50秒の角度の変化を伴い、天の北極と天の南極の位置も同じ方法で変動します。

IAU2006歳差章動理論

国際天文学連合（IAU）は、従来の赤経の基準を春分点に定めていましたが、これには天の赤道と黄道が交わる点だけが経緯を設定できないという問題がありました。そのため、「IAU2006歳差章動理論」が導入され、ICRS（国際天文基準座標系）が確立されました。これにより、黄道がなくとも赤経を正確に定義できるようになりました。
この新しい定義は2009年1月1日から施行され、視黄経は従来より常に50ミリ秒角大きくなります。

まとめ

赤経は、天体の位置を特定するための重要な要素であり、赤緯と組み合わせて用いることで、天球上での正確な位置を把握する手助けとなります。天文学を学ぶ上で、赤経の理解は欠かせない要素であり、正確な観測や研究においてその知識が活かされます。

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