走資派

走資派（そうしは）

「走資本主義道路的当権派」（そうしほんしゅぎどうろてきとうけんは）を略した政治用語で、「資本主義の道へ進む実権派」という意味を持ちます。この言葉は、中華人民共和国の文化大革命の期間に特に頻繁に使用されました。

社会主義革命を推し進める過程で、共産党内に現れたとされる、資本主義的な方向へと社会を導こうとする個人や集団を指して使われます。彼らは、ブルジョア勢力からの圧力や影響を受けやすく、その行動が最終的には資本主義の政治的および経済的支配の回復につながると見なされました。つまり、これらの勢力は、社会全体を「資本主義の道」へと引き戻そうとする存在として厳しく批判されました。

走資派とされる人々は、プロレタリアート独裁のもとでありながら、官僚的な特権を守ることに固執し、大衆による監督や批判に反対する傾向があるとされました。また、社会主義建設の過程で発生する様々な課題に対して、資本主義的な思考や手法を導入することを提唱すると特徴づけられました。これは、共産党内における資本家階級の代表であり、表面上は社会主義を支持しているかのように見せかけながら、実際には資本主義体制の復活を目指していると批判する文脈で語られました。

この用語が文書として初めて確認されるのは、1965年1月に毛沢東が主導して作成された中国共産党中央委員会の文書『農村社会主義教育運動中目前提出的一些問題』（通称「23条」）です。しかし、党内に見られる反動的傾向を批判する考え方そのものは、それ以前、1956年から1957年にかけて、毛沢東によってすでに発展させられていたとされています。

文化大革命期には、特定の党指導者や幹部を攻撃する際の政治的なレッテルとしてこの言葉が多用されました。例えば、1975年12月以降の新聞記事では、当時の指導者であった鄧小平を指す際に、「党内不肯改悔的走資本主義道路的当権派」（やり方を変えようとしない党内の走資本主義道路的当権派）という婉曲的な表現が用いられています。毛沢東自身は、鄧小平を走資派と見なし、さらにソビエト連邦も1953年のヨシフ・スターリン死去後に党内の走資派によって資本主義に陥ったと主張を展開しました。

文化大革命の最中である1976年には、「党内走資派」はより直接的に「党内資産階級」とも呼ばれるようになり、共産党の内部に資本家階級の代表者が存在するという認識が強調されました。

このように、走資派という言葉は、中国共産党による社会主義体制の中で、そこからの逸脱や体制変革につながる動きを厳しく非難し、排除するために用いられた、強いイデオロギー的な色彩を持つ政治用語でした。それは、共産主義革命の純粋性を守り、資本主義への回帰を防ごうとする毛沢東らによる、党内権力闘争や社会運動を正当化するための一つの手段であったと言えます。

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