起きないあいつ

「起きないあいつ」 - FAN TAN feat. The Uncoloured

「起きないあいつ」は、FAN TANがThe Uncolouredと共に制作したシングルで、北海道テレビ放送の番組『おにぎりあたためますか』企画から生まれました。曲の誕生は、2004年の釜山国際映画祭がきっかけでした。このイベントには、TEAM NACSの大泉洋と戸次重幸、そして映画『river』の監督であり番組の構成を担当した鈴井貴之が登壇しました。彼らが舞台挨拶の際に多くのサインを求められたことから、大泉はブログで冗談半分に「クリスマスまでにシゲと一緒にハングル語の曲を作りたい」と発言しました。この発言が思わぬ方向へ進展し、後に実際に楽曲制作が進むことになります。

その後、『おにぎりあたためますか』のプロデューサーが調整を行い、FAN TANはソニー・ミュージックエンタテインメントからメジャーデビューすることが決定しました。作詞は大泉と戸次が担当し、作曲と編曲はThe Uncolouredが行いました。初めは日本語、中国語（北京語）、韓国語の3か国語で進められる予定でしたが、最終的には日本語の楽曲が主となります。

楽曲制作はスピーディに進行し、The Uncolouredからデモ音源が届いてからわずか1週間後に、岩見沢のモーテルで作詞が行われました。The Uncolouredの提案したテーマは「卒業」でしたが、大泉と戸次が描いたイメージは「結婚式」でした。こうして、仮タイトルの「起きないあいつ」が誕生しましたが、実際のタイトルは出演者の佐藤麻美が考えることとなります。

ユニット名は当初、佐藤によって決定される予定でしたが、あまりにもセンスがなかったことから公募が行われ、最終的に中国語の「おにぎり」を意味する「握団（ファンタン）」が採用されました。この名前には、大泉を指す「FAN兄さん」と戸次を指す「TAN兄さん」の意味も込められています。曲名も正式に「起きないあいつ」に決まりました。

その後、レコーディング準備が始まりますが、デモ音源には不足している歌詞があったため、急遽新たな歌詞を追加しなければなりませんでした。レコーディングは大泉と戸次で合計6時間にも及び、深夜まで作業が続きました。ジャケット写真やプロモーションビデオのイメージは、大泉がレニー・クラヴィッツをモデルに、戸次はその対比として全身白でまとまりました。

2004年6月23日、「起きないあいつ」がCDとしてリリースされると同時に、「FAN TAN電波ジャック」が行われ、多くのラジオ番組に出演しました。そして、オリコンでは初登場第7位を記録し、北海道エリアでは1位を獲得。台湾のケーブルテレビ番組「北海道アワー」のエンディングテーマとしても起用されました。

FAN TANのイベントデビューは2004年8月、ZEEP SAPPOROで開催された私たちの夢のイベント「CUE DREAM JAM-BOREE 2004」で、初日には大泉が歌詞を間違えるというハプニングもありました。また、大泉は上海国際映画祭に出席していたため、単独で上海のCDショップでのプロモーションも行いました。

さらに、台湾デビューも果たし、外国人アーティストとしてのプロモーションを通じて当初の目標であったアジアデビューにこぎつけました。活動は続かず、2004年9月26日には「これでFAN TAN卒業します！」とスプレー宣言し、2005年1月19日にはDVD「ありがとうFAN TAN、さようならFAN TAN」をリリースし、活動を終了しました。

しかし、活動はその後しばらくないものの、2014年には10年ぶりの新曲「出ていったあいつ」を披露する機会がありました。また、大泉と戸次が参加しているTEAM NACSの番組では、森崎博之と音尾琢真によるパロディユニット「おむすび」が制作され、番組企画で「起きないあいつ」の替え歌が全篇オーストラリアで撮影されるなど、ユニークなエピソードも存在します。

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