起き上がり小法師:会津に息づく縁起物
起き上がり小法師(おきあがりこぼし、おきあがりこぼうし)は、
福島県会津地方で古くから親しまれている、愛らしい姿をした
郷土玩具です。「起姫(おきひめ)」とも呼ばれ、
会津の人々にとって「赤べこ」と並んで馴染み深い存在です。
起き上がり小法師のご利益
起き上がり小法師は、その名の通り、何度倒れても起き上がることから、「七転八起」の精神を表す
縁起物として大切にされてきました。無病息災、家内安全のご利益があるとされ、
会津地方では毎年
1月10日に開催される「十日市」で、家族の人数よりも1個多い数の小法師を購入し、一年間
神棚などに飾るのが習わしです。これは、「家族が増えますように」という願いが込められたものです。購入する際には、実際に倒して起き上がるものを選ぶのが良いとされ、多くのお店には試し置き場が設けられています。
起き上がり小法師の構造
その構造は
だるまと共通しており、本体の中心下部におもりを入れることで、倒れても起き上がる仕組みになっています。
円錐に近い形をしており、大きさは高さ約3センチ、胴回りは約7センチと手のひらに収まるサイズです。顔の部分は白く、胴体は赤色が多いですが、近年では様々な色のものが作られています。顔の表情は手描きのため、一つ一つ異なり、その温かみが魅力です。
起き上がり小法師の歴史
起き上がり小法師の歴史は古く、約400年前に
会津藩主・
蒲生氏郷が
藩士に作らせ、
正月に売り出したのが始まりとされています。また、
東日本大震災からの復興を応援するため、2013年には
高田賢三氏の発起により、世界中のアーティストが絵付けした「起き上がり小法師」を制作する「オキアガリコボシ・プロジェクト・フロム・ヨーロッパ」が開始され、注目を集めました。
キャラクターデザインとしての活用
起き上がり小法師は、その愛らしい姿から、様々なマスコットキャラクターの
モチーフとしても利用されています。
福ぼうしくん・福ぼうしさん: 福島県警察のシンボルマスコットとして、男・女警察官の制服姿でデザインされています。「福」には
福島県の福と幸福の福、「ぼうし」には「防止」の意味が込められ、県民の安全を願う意味が込められています。
起き上がり五郎: 会津若松建設事務所のイメージキャラクターとして、工事現場の看板などに使用されています。転んでも起き上がる姿で「ふくしま」をアピールしています。
こぼりん: 会津若松市の食育推進キャラクターとして、起き上がり小法師と
漆の茶碗を
モチーフに、「食で育む“こころ”と“からだ”の元気なあいづっこを目指して」制定されました。
おおちゃん小法師: 大熊町(
福島県双葉郡)のマスコットキャラクターとして、
会津若松市との縁から誕生しました。
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おきひめちゃん: NPO法人ハッスルが
東日本大震災の復興プロジェクトの一環として制作した缶バッジのデザインに採用されています。
起き上がり小法師は、
会津の人々の心の支えとして、そして希望の象徴として、これからも大切にされ続けるでしょう。