超低温矮星

超低温矮星（Ultra-cool dwarf）とは

超低温矮星とは、スペクトル分類がM型に属する恒星または褐色矮星のうち、有効温度が2700K以下のものを指します。この分類は、1997年にデイヴィー・カークパトリック、トッド・ヘンリー、マイケル・アーウィンによって提唱されました。当初は特定の範囲のM型矮星を指していましたが、現在ではスペクトル分類M7以降の非常に低質量のM型矮星や、スペクトル分類T6.5と同程度の低温な褐色矮星まで、より広い範囲を含むようになりました。

特徴

温度: 有効温度が2700K以下と非常に低い。
組成: M型矮星または褐色矮星に分類される。
分布: 太陽近傍の天体の約15%を占める。
惑星系: 原始[[惑星]]系円盤の質量とサイズが小さいため、木星型惑星よりも地球型惑星を多く持つ可能性が示唆されている。

惑星系

超低温矮星は、その質量とサイズから、木星のような巨大ガス惑星よりも、水星や地球サイズの岩石惑星を多く持つ傾向にあると考えられています。実際に、TRAPPIST-1という超低温矮星には、7つの地球型惑星が発見されており、このモデルを裏付ける証拠となっています。

寿命

水素核融合の速度が遅いため、超低温矮星の寿命は非常に長いとされています。最も小さいものでは数兆年にも及ぶと推定されており、宇宙の年齢（約138億年）よりもはるかに長寿命です。また、これらの超低温矮星は、寿命を終える際に赤色巨星ではなく、青色矮星になると予測されています。

電波放射と磁気圏

2001年、M9型の超低温矮星LP 944-20から電波放射バーストが観測されて以来、超低温矮星からの電波放射の研究が進められています。アレシボ天文台や超大型干渉[[電波望遠鏡群]]を用いた観測プログラムにより、現在までに数百の超低温矮星が観測され、そのうちの約5-10%が電波を放射していることが示されています。

電波放射超低温矮星

特に注目すべきは、温度が800-900Kと非常に低い2MASS J10475385+2124234です。この天体は、既知の中で最も温度の低い電波放射超低温矮星であり、スペクトル分類はT6.5の褐色矮星に分類されます。さらに、この天体は地球の磁気圏の3000倍以上強い、1.7kG以上の磁気圏を持つことが観測されています。

結論

超低温矮星は、その特異な性質から、天文学の研究において非常に重要な天体です。低温であること、長寿命であること、地球型惑星を持つ可能性、そして電波放射と強い磁気圏といった特徴は、今後の観測や研究により、更なる発見が期待されます。

超低温矮星の研究は、惑星系の形成や進化、そして宇宙における生命の存在可能性を探る上で、大きな手がかりを与えてくれるでしょう。

もう一度検索