超空洞

超空洞（ちょうくうどう）は、英語ではヴォイド（Void）とも称される、宇宙の広大なスケールにおける構造の一部です。宇宙には銀河が一様に散らばっているのではなく、まるで網の目のように特定の場所に密集しています。

私たちの銀河系もまた、アンドロメダ銀河をはじめとする数十個の銀河と共に銀河団を形成しています。さらに大規模な視点で見ると、これらの銀河団が集まり、超銀河団と呼ばれる巨大な銀河の集合体を構成しています。

これらの超銀河団は、宇宙空間にフィラメント状、あるいは膜状に連なって分布しており、まるで石鹸を泡立てた際にできる無数の泡の膜のように見えます。そして、この泡の膜に囲まれた、銀河がほとんど存在しない巨大な空間こそが「超空洞」です。

具体的には、これらの超空洞は、周囲を銀河の豊富な領域である銀河フィラメントや超銀河団に囲まれ、内部には光を放つ天体（銀河）が約1億光年から1億5千万光年、時にはそれ以上の距離にわたって極めて少ない領域です。泡の例えを用いるならば、超空洞は泡の内側の空っぽな空間にあたります。

こうした宇宙の不均一な構造は、ビッグバン直後の非常に若い宇宙に存在した、わずかな密度のゆらぎ（場所による温度差など）が、時間と共に重力の影響で成長・発達していった結果と考えられています。密度の高い領域に物質が集まり、現在の銀河や超銀河団、そしてそれらに囲まれた超空洞が形成されました。

超空洞の存在が明らかになったのは、比較的近年のことです。1980年代に入り、天文学者による詳細な観測によって、数億光年彼方に、直径が約2億光年にも及ぶ、銀河がほとんど観測されない広大な領域が発見されました。

この発見を皮切りに、同様の性質を持つ銀河の少ない巨大な空間が次々と見つかり、これらが「超空洞」と呼ばれるようになりました。その後の研究により、銀河や超銀河団が超空洞を取り囲む膜状の構造を形成し、宇宙全体が泡が積み重なったような大規模構造を構成していることが一層明確になりました。

現在観測されている限り、この泡状の構造は宇宙の果てまで続いていると考えられています。直径が数億光年にも達する巨大な泡の表面には、無数の銀河が密集しており、その内部には広大な超空洞が広がっているのです。

有名な超空洞としては、「うしかい座ボイド」や「北ローカル・スーパーボイド」、「南ローカル・スーパーボイド」などがあり、その内部にごく稀に存在する銀河は「ボイド銀河」と呼ばれ、特別な環境にある天体として研究対象となっています。

超空洞の研究は、宇宙の大規模構造の進化を理解する上で非常に重要であり、宇宙全体の成り立ちや進化の歴史を解き明かす鍵の一つとなっています。

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