超酸化カリウム

超酸化カリウムについて

超酸化カリウム（ちょうさんかカリウム、英: potassium superoxide）は、カリウムの一種であり、その化学式はKO2です。この物質は、溶融したカリウムを純酸素中で燃焼させることによって得られます。

特性

超酸化カリウムは、鮮やかな黄色の固体であり、結晶構造は立方晶系の炭化カルシウム型を持っています。また、超酸化物イオンに含まれる不対電子により、常磁性を示す特性も備えています。

反応と利用法

この物質は非常に強力な酸化剤であり、また吸湿性があることから、水分を吸収し、酸化する能力があります。この過程で、過酸化水素と酸素が生成されることが知られています。以下はその反応式です：

2 KO2 + 2 H2O → 2 KOH + H2O2 + O2

超酸化カリウムは、水酸化カリウム（KOH）に変化した後、更に二酸化炭素（CO2）と反応し、炭酸カリウム（K2CO3）や炭酸水素カリウム（KHCO3）へと変化を遂げます。反応式は以下の通りです：

2 KOH + CO2 → K2CO3 + H2O
KOH + CO2 → KHCO3

これらの反応を組み合わせると、次のような詳細な反応も確認できます：

4 KO2 + 2 CO2 → 2 K2CO3 + 3 O2
4 KO2 + 4 CO2 + 2 H2O → 4 KHCO3 + 3 O2

また、超酸化カリウムは、1 kgあたり理論的に0.309 kgの二酸化炭素を吸収し、0.38 kgの酸素を放出します。これを1モルあたりに換算すると、KO2は1/2モルのCO2を吸収し、3/4モルのO2を放出するということが出来ます。

さらに、炭酸水素カリウムへの変化では、KO2が1モルあたり1モルのCO2を吸収できるとされています。ただし、実際にはCO2の供給濃度の課題や炭酸カリウムの潮解現象により、十分な反応を引き起こすことは困難です。そのため、宇宙船ソユーズの酸素発生器や、深海探査用のしんかい2000にて開発された生命維持装置においては、水酸化リチウムが二酸化炭素を追加吸収する役割を果たしています。

この生命維持装置は、超酸化カリウムと水酸化リチウムの供給流量を調整することで、酸素と二酸化炭素の濃度を個別に制御できる仕組みになっています。さらなる効率的な反応のためには、触媒の追加や粒子の形状・サイズの調整も有効です。

工業用途

超酸化カリウムは工業界でも多用途に活用されています。特に、二酸化炭素の除去や除湿剤としての使用が一般的です。ロシア連邦宇宙局では、ソユーズの酸素供給源として実用化されるなど、航空宇宙分野での利用が進んでいます。また、非常用酸素マスクや潜水艦、潜水服、消防服などでも応用が見られますが、水分との反応性が高いため、使用は注意が必要です。

超酸化カリウムは、その特異な互換性と多様な用途により、現代の技術においてますます重要な役割を果たす物質として位置づけられています。

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