超音波式車両感知器

超音波式車両感知器とは

超音波式車両感知器は、道路上に設置され、その直下を通過する車両を超音波を用いて感知する機器です。この装置は、交通量の計測や信号制御などに利用され、現代の交通システムにおいて重要な役割を担っています。

構成

超音波式車両感知器は、主に以下の3つの要素で構成されています。

1. 感知器制御機: 装置全体の制御を行う部分です。
2. 感知器本体: 超音波の送受信を行う部分で、道路の上方に取り付けられます。
3. 超音波送受器: 超音波の送受信を行うセンサーで、接続ケーブルを含みます。

感知原理

感知器は、感知対象となる車線の中央、高さ5mから6mの範囲に超音波送受器を設置します。この送受器から、短い周期の超音波を断続的に送信し、その反射波が戻ってくるまでの時間差を測定することで、路面からの反射と車両からの反射を識別します。

超音波の伝播

音速は気温によって変化し、331.5 + 0.6t m/s （t は摂氏温度）で表されます。例えば、外気温が20℃の場合、音速は約343 m/sとなります。送受器が5mの高さに設置されていると仮定すると、送信した超音波は約29ms後に路面で反射して戻ってきます。一方、車高2mの車両が送受器の直下を通過または停止している場合、超音波は約17ms後に車両で反射して戻ってきます。

車両の検知

このように、車両からの反射波と路面からの反射波では、超音波の往復に要する時間が異なります。この時間差を利用して、感知器は車両の存在を検出します。

人体への影響

超音波式車両感知器が使用する超音波は、一般的に人間の可聴域外であるため、直接的に音として聞こえることはありません。しかし、人体内の特定の部位で共振が発生した場合、異音として知覚されたり、衝撃を感じることがあります。そのため、感知器の設置場所を横断歩道からずらしたり、歩行者が横断中は超音波の送信を停止するなどの対策が講じられています。

信号機器としての感知器の歴史

初期の超音波式車両感知器は、感知精度が低いものが多く、「W型」「N形」などの機種が用いられていました。これらの機種の中には、動作時にバチバチという音を発するものもありました。

その後、技術の進歩により、感知精度の高い「ドップラ式車両感知器」や「C『分離』形超音波式車両感知器」が登場しました。現在では、これらの機種が主流となっています。

光学式車両感知器との連携

車両との連携が必要な場合には、超音波式感知器だけでなく、光学式車両感知器も使用されています。光学式感知器は、カメラで撮影した画像を解析することで車両を検出します。

まとめ

超音波式車両感知器は、超音波の反射時間差を利用して車両を検出する重要な交通機器です。技術の進歩とともに、より精度が高く、安全に配慮した製品が開発されています。この装置は、現代の交通管理システムにおいて、不可欠な要素となっています。

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