越中哲也

越中哲也について

越中哲也（えっちゅう てつや、1921年12月13日 - 2021年9月25日）は、長崎市出身の著名な郷土史家であり、地域の歴史文化の守り手として長きにわたり活動してきました。長崎歴史文化協会の理事長を務めていた彼は、長崎の歴史や文化の発信者という役割を果たしていました。

略歴

越中哲也は長崎市に生まれ、長崎で語り継がれる民話「飴屋の幽霊」に登場する光源寺の子どもとして育ちました。長崎県立長崎中学校を卒業後、龍谷大学の文学部仏教学科で学びましたが、その後、軍に徴兵され戦地へ赴きました。復員後は、焼け残った長崎県立図書館に通い、古賀十二郎や渡辺庫輔、片岡弥吉、林源吉、永島正一らの郷土史家たちとの出会いを通じて、自らも郷土史研究の道を志しました。

1955年に長崎市の職員としてのキャリアをスタートし、長崎市立博物館では学芸員として活動を始めました。その発展を受け、1974年には館長に就任し、博物館を牽引していきました。1982年に定年退職した翌年、長崎歴史文化協会を設立し理事に就任、その後も地域の歴史や文化を研究し続けました。

1983年には純心女子短期大学の教授に就任し、1996年まで教育活動にも従事しました。1998年には長崎純心大学の長崎学研究所で研究員として活動を開始し、2001年には母校の龍谷大学から第12回龍谷賞を受賞しました。長崎の文化の研究に奮闘し、テレビやラジオのメディアでも積極的に発信しており、地元民からは愛称「越中先生」と呼ばれるほど親しまれていました。

エピソード

越中哲也は、長崎の風物詩や文化行事についての専門家として知られていました。特に長崎くんちや精霊流しの時期には、長崎放送で解説者としての役割を担い、地元住民に向けてわかりやすく伝えることに情熱を注いでいました。その影響力から、彼は路面電車に乗っているだけで知らない人から声をかけられるほどの知名度を誇っていました。毎年の精霊流し中継では、「来年は、私が精霊流しの船に乗ります」という言葉で番組を締めくくるのが習慣となりました。

彼は長崎の文化や歴史を若い世代に引き継ぐため、さまざまな活動を行い、ローカル放送のコマーシャルにも出演。また、長崎歴史文化観光検定のテキスト本の総監修を務めるなど、幅広く関与していました。2011年からはNHK長崎放送局の番組『でんでらフライデー』でご意見番としても活躍しました。

著書

越中には多くの著書もあり、以下のような著作が知られています。

• - 『若宮稲荷神社史』(1975年)
• - 『長崎の西洋料理―洋食のあけぼの』(1982年)
• - 『長崎のべっ甲』(1983年)

また、彼は数多くの編著や共著、校注作業も行い、地域の歴史文化を後世に伝える役割を果たしました。代表的なものには『江戸時代図誌 25 長崎・横浜』や『目で見る長崎市の100年』などがあります。

最後に

越中哲也は2021年9月25日に99歳で他界しました。彼の死去に際し、長崎市長からもお悔やみの言葉が寄せられるなど、その影響の大きさを伺わせます。彼の長い人生の中で培った知識や情熱は、地域の人々にとって貴重な財産であり続けるでしょう。

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