越前打刃物

越前打刃物

越前打刃物は、福井県越前市で生産されている刃物で、経済産業大臣指定の伝統的工芸品です。その歴史は古く、南北朝時代にまで遡ります。

歴史

越前打刃物の起源は、1337年（南北朝時代）に京都の刀匠、千代鶴國安が刀剣製作に適した地を求めて越前市に移り住んだことに始まります。彼は刀剣を作る傍ら、地元の農民のために鎌を作りました。これが越前打刃物のルーツとされています。

江戸時代に入ると、福井藩の保護政策によって鍛冶屋町や問屋街が整備され、株仲間も組織されるなど、地場産業として発展しました。越前漆器に携わる漆かき職人が全国を旅する際に越前鎌を持参し、販路拡大に貢献したという分析もあります。江戸時代中期には、越前鎌は全国一の生産量を誇るようになりました。

明治時代以降は、製造機械や科学的な技術が導入され、生産性が向上しました。1979年（昭和54年）1月には、刃物としては日本で初めて国の伝統的工芸品に指定され、その技術と品質が認められました。2007年（平成19年）11月には、特許庁の地域団体商標にも登録されています。

製法

越前打刃物の製造は、伝統的な製法に基づいて行われます。

1. 成形: 刃物鋼を炉で熱し、鎚打ちによって打ち延ばし、打ち広げることで形を作ります。
2. もろ刃包丁の打ち広げ: もろ刃包丁の場合は、二枚重ねにして打ち広げます。
3. 鎌と鉈の樋: 鎌や鉈には、「樋」と呼ばれる溝を付けます。
4. 焼入れ: 「泥塗り」を行い、急冷することで刃を硬くします。
5. 刃付け、研ぎ、仕上げ: 刃付け、研ぎ、仕上げは、職人の手作業によって行われます。
6. 包丁の仕上げ: 包丁の仕上げには、「ぼかし」を付けることがあります。

これらの工程を経て、越前打刃物はその優れた切れ味と耐久性を実現しています。


越前打刃物は、その長い歴史と伝統に培われた技術によって、現在も高品質な刃物として広く愛用されています。

外部リンク

* 越前打刃物産地協同組合連合会

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