趙世延

趙世延の生涯と業績

趙世延（ちょう せいえん、1260年 - 1336年）は、元朝のウルスにおいて際立った業績を残した政治家です。オングト部アンチュル家に生まれ、硬骨漢として知られる彼は、数多くの権力者と対立しながらも、最終的にはクビライから始まる9人のカアンに50年以上仕官しました。

家族背景と若年期の学び

趙世延の家系は、彼の祖父がチャガタイ家に仕官し、陝西や四川への進出での大きな貢献がありました。また、父親も東部チベット進出での成果を上げたヒジル（趙国宝）でした。幼少期より聡明で、彼は儒教を学び、多くの書物を読んで知識を深めました。家族が軍事に従事する中、趙世延は早くからクビライに認められ、中央政府の各職を歩んでいくのです。

中央政府での足跡

1292年、彼は24歳という若さで雲南の提刑按察司に就任し、烏蒙蛮の軍を打ち破り降伏を促す業績を挙げました。その後、1292年には監察御史として名を馳せ、強権者サンガを弾劾しようとしましたが、結果的には捕らえられたのは運が良かったといえます。1296年、彼は江南湖北道の職に就き、儒教の普及や義倉の設立などに尽力し、さらには腐敗した宗教施設の排除にも協力しました。

権力者との対立とその後

クルク・カアンの治世には四川地方の職に就いていましたが、1311年には右丞の失敗を受けて留め置かれました。この時、趙世延は戦争の継続を辞めるよう主張し、国家の損失を軽減することを目指しました。1313年、江浙行省での役職に昇進し、中央政府でも侍御史として働きました。

しかし、彼は時の権力者テムデルと対立し、1316年には13の罪状を挙げて弾劾しました。これが功を奏し、一時テムデルは官職を辞して彼の処遇を求めましたが、その後復職され、逆に趙世延は捕らえられました。その後、ゲゲーン・カアンの支援によって救出され、再び政治の舞台に戻ることができたのです。

晩年と家族

趙世延の晩年は権力を背景に新たなカアンに仕えながらも、内乱の波に見舞われました。その中で彼は大都派に属し、内乱後には高位の職に昇進しましたが、健康上の理由から多くの職を辞退せざるを得ませんでした。1336年5月に成都に移り、その年の11月に亡くなるまで、彼の政治生涯は続きました。

趙世延の子孫は5人いたとも言われますが、その中でも主な者たちの功績が記録されています。息子のイェスデイは紅巾の乱で忠義を示し戦死し、オルクは江浙行省で理問官を務めましたが具体的な業績がはっきりしません。バイクは夔州路総管として活躍し、内乱に巻き込まれて亡くなりました。

結語

趙世延は、権力者と対立しつつも、政治家としての道を全うし続けた人物でした。その纏った波乱万丈の人生は、後世に多くの人々に影響を与え、彼の業績は今日でも評価されています。

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