趙娥

趙娥（ちょう が）は、後漢時代に生きた女性であり、詳しい生没年は分かっていません。彼女は趙安の娘であり、龐子夏（子夏は字）の妻、龐淯（ほういく）の母として知られています。皇甫謐（こうほひつ）の『列女伝』では、龐娥親（ほう が しん）として記録されています。

趙娥の人生は、父である趙安が同じ県の住人、李寿（り じゅ）に殺害されたことから大きく変わります。父の仇を討つため、趙娥は兄弟姉妹と共に復讐を計画しますが、志半ばにして次々と亡くなってしまいます。李寿は、自分を狙う者がいなくなったと喜び油断していました。しかし、その様子を聞いた趙娥は、自らの手で仇を討つことを決意します。

彼女は名剣を手に入れると、夜な夜な剣を研ぎ続けました。その姿は周囲からは嘲笑の的となり、「女の身で何ができるのか」と馬鹿にされました。しかし、趙娥は周囲の非難に一切屈することなく、復讐の念を燃やし続けました。

ついに179年2月、白昼堂々と李寿と遭遇した趙娥は、迷うことなく剣を抜き、見事に李寿を討ち果たします。仇討ちを成し遂げた趙娥は、李寿の首を持って自ら役所に出頭し、罪を償おうとしました。しかし、彼女の行動は全く裁かれることはありませんでした。趙娥は、法に基づいた処罰を強く求めましたが、その願いは聞き入れられず、強制的に家に帰されることとなりました。

趙娥の勇気ある行動と父への復讐を成し遂げた功績は、広く称賛されることとなります。彼女の列女としての生き方を讃え、その徳を後世に伝えるため、村の門には石碑が建てられました。趙娥の物語は、単なる復讐譚としてだけでなく、困難に立ち向かう女性の強さ、そして親への深い愛情を示すものとして、語り継がれています。

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