足の陽明胃経

足の陽明胃経（あしのようめいいけい）

足の陽明胃経は、消化器系と密接に関連する重要な経絡です。胃経は、五行思想において「土」に属する胃と脾の機能を反映し、体内の栄養吸収とエネルギー生成に深く関わっています。本経絡は、顔面から始まり、足の第2指に至る複雑な経路をたどり、消化器系の不調だけでなく、様々な身体の症状に影響を与えます。

流注（るちゅう）

足の陽明胃経は、以下の経路を流れます。

1. 起始: 鼻根から始まり、鼻の外側（承泣穴、四白穴、巨髎穴）を通ります。
2. 顔面: 上歯の中に入り、唇を巡り、下顎の下縁を通って大迎穴、頬車穴へと進みます。
3. 側頭部: 耳前に上り、客主人穴を過ぎて側頭部の髪の生え際、額へと至ります。
4. 体幹: 大迎穴の前から人迎穴に下り、喉を巡って缺盆穴に入り、横隔膜を通過して胃に属し、脾を絡います。
5. 下肢: 缺盆穴から乳首の内側を下り、臍を挟んで気衝穴に入り、大腿前外側、膝関節を通り、下腿前外側を下って足の第2指外端へと終わります。

支脈:

胃口の下から起こり、腹中を下って気衝穴で本経に合流します。
三里穴の下方から分かれ、下腿外側を下り豊隆穴を経て足の第3指に向かいます。
衝陽穴から分かれて足の第1指に至り、足の太陰脾経に繋がります。

足の陽明胃経に所属する経穴

足の陽明胃経には、以下の重要な経穴が含まれます。

ST1. 承泣（しょうきゅう）
ST2. 四白（しはく）
ST3. 巨髎（こりょう）
ST4. 地倉（ちそう）
ST5. 大迎（だいげい）
ST6. 頬車（きょうしゃ）
ST7. 下関（げかん）
ST8. 頭維（ずい）
ST9. 人迎（じんげい）
ST10. 水突（すいとつ）
ST11. 気舎（きしゃ）
ST12. 缺盆（けつぼん）
ST13. 気戸（きこ）
ST14. 庫房（こぼう）
ST15. 屋翳（おくえい）
ST16. 膺窓（ようそう）
ST17. 乳中（にゅうちゅう）
ST18. 乳根（にゅうこん）
ST19. 不容（ふよう）
ST20. 承満（しょうまん）
ST21. 梁門（りょうもん）
ST22. 関門（かんもん）
ST23. 太乙（たいいつ）
ST24. 滑肉門（かつにくもん）
ST25. 天枢（てんすう）
ST26. 外陵（がいりょう）
ST27. 大巨（だいこ）
ST28. 水道（すいどう）
ST29. 帰来（きらい）
ST30. 気衝（きしょう）
ST31. 髀関（ひかん）
ST32. 伏兔（ふくと）
ST33. 陰市（いんし）
ST34. 梁丘（りょうきゅう）
ST35. 犢鼻（とくび）
ST36. 足三里（あしさんり）
ST37. 上巨虚（じょうこきょ）
ST38. 條口（じょうこう）
ST39. 下巨虚（げこきょ）
ST40. 豊隆（ほうりゅう）
ST41. 解谿（かいけい）
ST42. 衝陽（しょうよう）
ST43. 陥谷（かんこく）
ST44. 内庭（ないてい）
ST45. 厲兌（れいだ）

各経穴には、特定の部位に位置し、それぞれ独自の治療効果があります。例えば、足三里は胃腸の機能を整える代表的な経穴として知られています。

臨床応用

足の陽明胃経は、消化不良、食欲不振、腹痛、便秘などの消化器系の症状の治療に広く用いられます。また、顔面部の経穴は、顔面神経麻痺や三叉神経痛などの神経系の疾患にも応用されます。さらに、下肢の経穴は、膝や足の痛みの緩和にも効果が期待できます。

注意点

経穴の取穴は正確に行う必要があります。また、 беременных женщин や重度の疾患を持つ患者への鍼灸治療は慎重に行う必要があります。専門家による適切な指導のもとで治療を受けることが重要です。

まとめ

足の陽明胃経は、消化器系の健康を維持し、全身のバランスを整えるために不可欠な経絡です。経絡と経穴の知識を深めることで、より効果的な健康管理が可能になります。

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