足柄 (重巡洋艦)

足柄 (あしがら) - 日本海軍の重巡洋艦

概要

足柄は、日本海軍の重巡洋艦として、妙高型の3番艦に位置付けられています。この艦名は神奈川県箱根にある足柄山にちなんで命名されており、戦後は海上自衛隊のあたご型護衛艦の2番艦として再び「足柄」という名を受け継がれました。

竣工と初期の活動

足柄は1929年の8月20日に神戸の川崎造船所で竣工し、その後1935年の4月7日には標柱間速力試験で実測35.6ノットを記録しました。しかし、同年9月14日には射撃訓練中に火災が発生し、13名の乗員が命を落とすという悲劇に見舞われました。

海外派遣

1937年、足柄はイギリスで開催されたジョージ6世の戴冠記念観艦式に参加。英海軍の艦船やその他の国々の艦船と共に出席し、その際に「飢えた狼」との異名をいただくことになりました。この名は、当艦の強力な兵装に対する評価を含む一方、外見の無骨さを暗に揶揄されたものとも言われています。なお足柄は、この艦隊派遣の過程でドイツを訪れるなど、多岐にわたる国際交流も行いました。

太平洋戦争

太平洋戦争に突入すると、足柄はフィリピンへの進攻作戦などに参加しました。特に1941年12月にはアメリカの航空機の攻撃を受けるも、自艦で高角砲による防衛を行い、その後の作戦に従事しました。

沈没

1945年6月8日、足柄はジャカルタからシンガポールに向かう途中、イギリスの潜水艦「トレンチャント」に襲われ沈没。艦内には約850名の乗員がいたが、そのうちの多くは駆逐艦「神風」に救出されました。これにより、足柄はその歴史の幕を閉じることとなりました。

エピソード

足柄に対する評価は、国や人々の美意識によって異なります。イギリスでは「美しさとは言い難い艦」として皮肉を交えた見解が示される一方、軍艦の機能性を評価する声も存在しました。また、ジョージ6世戴冠記念観艦式では、日本の新聞記者たちが帰国の際に特別な体験を持ち帰った逸話も残っています。

結論

足柄は日本海軍の重巡洋艦として多くの歴史的な役割を果たしました。国際的な交流を経た艦として、また複雑な評価の対象として、その名は今も語り継がれています。

もう一度検索