足羽神社

足羽神社：越前開闢の祖神と豊かな自然が織りなす聖地

福井県福井市足羽地区に鎮座する足羽神社は、悠久の歴史と豊かな自然に抱かれた神社です。式内社であり、かつては県社に列せられていました。境内には、継体天皇をはじめとする数々の神々が祀られており、古くから地域の人々の信仰を集めてきました。

祀られる神々

主祭神は継体天皇です。越前国開拓の祖として、地域の発展に大きく貢献したとされています。継体天皇は子宝にも恵まれたことから、子授け、安産、子孫繁栄の神としても信仰されています。

他に、生井神、福井神、綱長井神、阿須波神、波比岐神が祀られています。これらの神々は、総称して大宮地之霊（別称：坐摩神）と呼ばれ、生命の源、幸福、長寿、旅の安全、災難除けなど、人々の生活全般を司る神々として崇められています。特に阿須波神は、『万葉集』にも詠まれている古くから信仰を集める神です。

神社の紋章は、太陽、月、北極星の三光紋です。天皇の象徴である北極星と、命と力の源である太陽と月が一つになったこの紋は、全国でも三社しかない貴重なものです。

由緒ある歴史

足羽神社の創建は、継体天皇が越前国にいた時代にまで遡ります。当時、皇子であった継体天皇は大宮地の霊を祀ったのが始まりと伝えられています。その後、越後平野の治水工事を行い、即位して大和に帰る際に自身の霊を祀り、祭祀を馬来田皇女に託しました。

創建以来、朝廷からの崇敬も厚く、延暦10年（791年）には従五位下、仁寿元年（851年）には従四位下に叙されています。また、『越前国惣神分』には正一位足羽大明神として記載されており、その格式の高さがうかがえます。鎌倉時代以降は武家からの崇敬も篤く、朝倉氏などから社領が寄進されました。江戸時代には、福井藩主である越前松平家の尊信も厚く、庇護を受けました。

貴重な文化財

足羽神社には、数多くの文化財が残されています。かつては、光明天皇と仁孝天皇から宸筆の額字を賜り、旧国宝に指定されていたものもありましたが、太平洋戦争で焼失してしまいました。現在も、紙本墨書光明院宸翰や紙本墨書仁孝天皇宸翰など、貴重な書物が残されています。

美しい自然

境内には、樹齢370年を超えるしだれ桜や、タカオモミジなど、多くの天然記念物が存在します。春にはしだれ桜が咲き誇り、多くの人々を魅了します。これらの樹木は、神社の歴史と自然の豊かさを象徴する存在です。

また、境内には、天壌無窮碑、小燈籠、六地蔵宝塔、足羽宮碑、継体天皇御世系碑、九頭龍川修治碑など、様々な石碑や石造物が点在し、それぞれに歴史物語を秘めています。これらの遺構は、足羽神社の歴史と信仰を物語る貴重なものです。

多くの祭事

足羽神社では、年間を通して様々な祭事が行われています。歳旦祭、節分祭、春季例大祭、秋季例大祭といった伝統的な祭事から、桜まつり、輪くぐり祭など、地域に根付いた祭事まで、多彩な催しが開催されます。これらの祭事は、地域住民の信仰と一体となり、神社の活気を象徴するものです。

足羽神社は、歴史と自然、そして人々の信仰が一体となった、まさに聖地と言えるでしょう。訪れる人々に、静寂と安らぎ、そして歴史の重みを感じさせる、魅力的な場所です。

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