距離測定装置

距離測定装置とその役割

距離測定装置（DME）は、航空機の位置を測定するための装置で、地上の通信施設と航空機上の機器の間で距離を無線通信によって測定します。DMEは「ディーエムイー」と呼ばれることが多く、航空機の航法を支援するために欠かせない技術です。日本の法令では呼び方に特に規定はありませんが、公式には「ディーエムイー」と表記されています。また、VOR/DMEといった呼び方もあり、「ブイオーアール ディーエムイー」や「ボル デメ」など、さまざまな呼称が存在します。

DMEの構成と仕組み

DMEは、航空機に搭載されたインタロゲータ（質問信号を送る装置）と、地上のトランスポンダ（応答信号を送る装置）から構成されています。インタロゲータは特定の周波数を使用し、パルスを含む質問信号を送信します。地上のトランスポンダはこの信号を受信し、50マイクロ秒後に応答信号を発信します。これにより、航空機は送信した信号と応答信号の時間差を測定することで、自機と地上局間の斜め距離を算出します。

距離ゲートと追跡状態

受信した応答信号は、自機の送信した質問信号よりも遅れて到着するため、インタロゲータは特定の時間遅れたパルスのみを通過させる「距離ゲート」という仕組みを利用して信号を選別します。この段階を捜索状態（Search mode）と呼び、航空機が自機に向けて送信された信号を確実に受信できるようにします。信号の受信が安定することで、追跡状態（Track mode）に移行し、航空機の移動に応じて距離ゲートを調整しながら距離を連続的に測定します。

このプロセスは、航空機がDMEの異なる周波数チャンネルに切り替えたり、着陸時に機器を停止するまで自動的に続けられます。DMEは、電波が伝播する速度が一定であることを基に、質問信号を送信してから応答信号を受信するまでの時間差を計算し、距離を測ります。

使用チャンネルと周波数

DMEは、1Xから始まるチャンネル番号を用い、最大で126×2チャンネルまで使用されることが可能です。周波数は、インタロゲータが1,025MHzから1,150MHz、トランスポンダが962MHzから1,213MHzの範囲で応答します。通常、VOR（全方向式無指向性無線標識）とDMEは併設され、同じ場所に配置されることが多いです。このような施設はVOR/DME（ヴォルデメ）と呼ばれ、滑走路の近くにはターミナルDME（T-DME）が設置されることもあります。

DMEの受信範囲は200-300nm程度で、精度は約0.5nmに達します。ただし、航空機がDME局の真上にいる際は示される距離が0ではなく、高度に基づくものになります。このため、実際の距離を測定する際には高度の影響も考慮する必要があります。

識別コードと情報発信

DMEは、30秒ごとに3文字からなる識別符号をモールス信号形式で送信しています。日本国内では、DME局の識別符号の3文字目には「D」が使用され、VOR/DME局は「E」、T-DMEは「I」が指定されることで特徴づけられています。

法的規定

日本では、航空用DMEは電波法に基づき定義されており、地上設備は無線航行陸上局、機上設備は航空機局として免許が必要となります。この規定により、DMEの運用は厳格に管理されています。自衛隊の航空機については特別な規定が設けられ、無線局の免許を求められません。

まとめ

DME技術は、航空機の航法や運行の正確性を高めるために不可欠な装置です。その仕組みや使用法は航空業界においてますます重要性が増しており、今後も発展が期待されています。

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